記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/2/13
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
脳は神経伝達物質の働きにより、情緒が変化し、モノを記憶することができます。この記事では、人の情緒や記憶に纏わるの神経伝達物質について解説しています。脳卒中予防と脳の活性化につながる栄養についても解説していきます。
脳は、食事から得るエネルギーの18%のエネルギーを消費し、数千億個もの神経細胞がネットワークを形成しながら活動しています。
神経細胞とは、人間が生きていくために必要な情報を伝達する役割があり、ケーブルのようなものです。そして、神経細胞同士の接点をシナプスといいます。シナプスで情報をやり取りするときに必要になるのが神経伝達物質です。
神経伝達物質は、人間の情緒の変化や病気の発症に深く関わっています。例えば、神経伝達物質の中に、ノルアドレナリンやセロトニンというものがあります。ノルアドレナリンは集中力や積極性に影響を及ぼし、セロトニンは気分に影響を及ぼします。これらの物質が不足すると、気分が落ち込んだり、イライラしたり、仕事や遊びなどへの興味が薄れ、集中力が低下します。ノルアドレナリンやセロトニンの減少はうつ病の原因にもなり、記憶や認知機能に影響を及ぼすアセチルコリンという神経伝達物質は認知症の原因にもなります。
セロトニンは人間の気分に影響を及ぼす神経伝達物質で、不足すると、イライラ感や不安感につながります。セロトニンは、トリプトファンという必須アミノ酸から生成されます。トリプトファンは体内で作ることができないので、食事から栄養分として摂取しなくてはなりません。お米やパン、豆類、肉類をバランスよく食べるようにしましょう。
忙しくて朝食を抜いてしまう方もいるかもしれませんが、朝食を抜いてしまうとセロトニン不足になってイライラした気分になりやすいといわれています。また、セロトニンは加齢やストレスによっても減少します。年齢を重ねると食べる量が減ってしまったり、強いストレスを感じているときには食欲が低下してしまいがちですが、そのようなときでも、食事はきちんと摂るようにしましょう。
魚を食べると頭がよくなると言われますが、それには神経細胞が関係しています。魚の脂肪には、DHA(ドコサヘキサエン酸)という成分が豊富に含まれています。DHAは、シナプスの働きを促進させる効果があり、アセチルコリンなどの神経伝達物質を活性化させます。アセチルコリンが活性化することで、記憶力や理解力の上昇効果が期待できます。
また、DHAには善玉コレステロールを増やし、悪玉コレステロールや中性脂肪を減らす働きがあるといわれています。同様の働きはレシチン、チロシンという成分にもあり、大豆に豊富に含まれています。中性脂肪が減ると血液がサラサラになり、動脈硬化を予防する効果が期待できます。さらに、DHAには血小板の凝固を防ぐ働きがあるため、血栓を予防し脳卒中リスクを下げる効果が期待できます。
脳は、人間の健康に密接に関わっています。脳を元気にすることは、健康で豊かな人生を送る上で非常に重要です。炭水化物や肉や魚など、バランスよく食べることが神経伝達物質の活性化のために重要です。ダイエットのために炭水化物を全く摂らないなど、極端な食事制限はやめましょう。