記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/2/13 記事改定日: 2018/7/20
記事改定回数:1回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
クラミジアは性病のひとつであり、男性の性器に感染するとクラミジア尿道炎など様々な症状を発症します。
この記事では、男性のクラミジアの特徴について説明していきます。症状や治療法はもちろん、再発予防の方法も紹介しているので参考にしてください。
クラミジアは、クラミジア・トラコマチスという細菌に感染することで発症します。クラミジアが男性に感染するときは、主に2つの部位に感染します。
一つは、尿道の粘膜です。尿道に感染するとクラミジア性尿道炎を発症します。排尿時の違和感や痛み、尿道のかゆみや不快感などの症状が現れ、炎症が強くなると、尿道から白色の分泌物が出ることもあります。ただし、自覚症状が全く出ないこともあるので注意が必要です。
もう一つは、のどの粘膜に感染することによって発症する咽頭クラミジアです。症状は風邪と似ていて、喉の痛みや、微熱、頭痛などが現れます。風邪の症状が長引いたために病院を受診し、咽頭クラミジアが判明するケースも少なくありません。
クラミジアは、空気中に放出されると死滅するため、粘膜の接触や唾液や体液を直接口にするような行為でしか感染することはありません。
主な感染経路は性行為ですが、オーラルセックスでのどに感染することもあり、パートナーが咽頭クラミジアを発症している場合には、ディープキスによって感染する可能性もあります。
クラミジアは非常に感染力が高いため、クラミジアに感染しているパートナーとコンドームを使用せずに性行為をすると50%以上の人が感染するとの報告もあります。また、クラミジアの潜伏期間は1~3週間とされており、この間は症状がなくてもパートナーに感染させる可能性があるので、感染する危険のある性行為を行った後は少なくとも3週間はコンドームの使用などによる感染対策を行いましょう。
クラミジアは、症状が軽度だったり、時間がないという理由で放置してしまう人も少なくないようです。「クラミジアが自然治癒した」と主張している人もいますが、これは他の病気で処方された抗生物質で偶然治った場合や、症状が一時的に治っているだけの可能性もあります。
基本的にはクラミジアは自然治癒しません。感染した場合は、医療機関での治療が必要です。
また、クラミジアは症状が軽かったり無症状の状態でも、無治療のままでいれば菌を持っている状態のままになるため、他人にうつしてしまうリスクがあります。
クラミジアは性行為を通じてうつります。パートナーの女性にクラミジアを感染させてしまうと、不妊症や子宮外妊娠など、妊娠に影響が出る場合があります。また、男性も無精子症になってしまうリスクがあることを知っておきましょう。
そして、HIVへの感染率が3~5倍に上がることも大きなリスクといえるでしょう。クラミジアを放置することは、自分はもちろん、パートナーへもリスクを背負わせてしまうことになりかねません。症状が軽いからといって放置するのではなく、疑わしい症状が現れた場合や、感染が疑わしい状況の場合は、すぐに病院を受診しましょう。
クラミジア性尿道炎の一般的な検査方法は尿検査です。2時間程トイレを我慢したうえで、採尿します。保健所でも検査を行っていますが、保健所の検査で陽性反応が出た場合には病院での再検査が必要です。クラミジアは非常に小さい細菌のため顕微鏡などではわかりません。PCR法(DNAの一部の塩基列を増幅する検査法)で検査をします。
クラミジアは症状が改善したと思っても、再発したり再感染することもあります。
再発は適切な治療を行わなかったケースで多く見られ、症状があるにも関わらず自然に治るのを待って治療を行わなかった人や、病院から処方された薬をきちんと飲み切らなかった人が当てはまります。クラミジアは抗生物質を使用して治療しますが、抗生物質は中途半端に服用するとクラミジアを完全に退治できないばかりでなく、耐性菌を生むこともあります。クラミジアが疑われる場合には、必ず病院を受診して処方された薬を最後まで飲み切るようにしましょう。
また、再感染を予防するには、コンドームを使用した感染対策を行い、不特定多数との性行為は控えることが大切です。
男性のクラミジアは症状が軽い場合もあるため、放置してしまうことがあります。しかし、クラミジアを放置することのリスクは、自身に及ぶだけではありません。大切なパートナーにうつしてしまい、妊娠への影響がでたり、HIVの感染率があがったりすることもあるのです。クラミジアと疑わしい症状がある場合、症状がなくても感染した可能性があると思ったときには、早急に病院を受診しましょう。
※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。