記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/2/14 記事改定日: 2018/3/13
記事改定回数:1回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
毎年冬に猛威を振るうノロウイルスですが、ノロウイルスの感染や二次感染を防ぐには、正しい消毒方法や予防方法を知っておくことが非常に大切です。意外に知られていない重要なポイントをまとめました。
ノロウイルスは、「ノンエンベロープウイルス」の一種です。ノンエンベロープウイルスとはアルコール消毒や熱への抵抗力の高いウイルスのため、通常のアルコール消毒では除去できません。しかし、最近ではノンエンベロープウイルスにも効く「酸性アルコール消毒剤」が開発・販売されているので、該当商品を使うことも有効なノロウイルス予防法となります。
ノロウイルスには、次亜塩素酸ナトリウムによる消毒が有効と言われています。次亜塩素酸ナトリウムは、市販の「家庭用塩素系漂白剤(濃度約5%)」に含まれています。これを使った消毒液の作り方を、以下でご紹介します。
水2.5L(500mlのペットボトル5本)と、家庭用塩素系漂白剤10mL(ペットボトルのキャップ2杯分)を混ぜれば完成です。消毒液の濃度は200ppmになります。
水0.5L(500mlのペットボトル1本)と、家庭用塩素系漂白剤10mL(ペットボトルのキャップ2杯分)を混ぜれば完成です。消毒液の濃度は1000ppmになります。
消毒の際は必ず換気をし、使い捨てのエプロンやマスク、手袋、靴カバーを装着してください。対象となる吐瀉物や便にペーパータオルを被せて全体を覆い、1000ppmの消毒液をかけましょう。ちりとりやへらなどを使って全て除去したら、二重にしたビニール袋に入れ、消毒液を上からかけ、口を縛ってください。
嘔吐した場所から半径3mの範囲も、200ppmの消毒液とペーパータオルで消毒してください。消毒が終わったら手袋などを外し、同じビニール袋に入れて消毒処理をします。
なお、この消毒液には漂白作用があるので、衣類などを消毒する場合は85℃以上の熱湯消毒などで消毒してください。また、消毒液は時間が経つと効力が落ちる恐れがあるので、使い切るようにしましょう。
消毒液をスプレー容器に入れると、噴霧時に目に入る危険性があります。理想は噴霧ではなく直接消毒液を使う方法ですが、噴霧の際は必ずゴーグルを着用するようにしてください。
ノロウイルスは、人の手や指を介して感染が広がります。そのため、手を洗うことが感染予防のために重要です。とくに、トイレの後と食事の前は忘れずに手を洗うようにしてください。
ポイントは「食べ物に触れる前」に手を洗うことです。手にウイルスが付着していて、その手で食べ物に触れてしまうと、食べ物を介してウイルスに感染してしまいます。一度の手洗いを長時間するよりも、何度も手を洗った方が効果的と考えられています。
手を洗うときは、石鹸をつけて手首までしっかりと洗った後、流水で石鹸が落ちるまですすいでください。石鹸には界面活性剤が含まれています。その作用でウイルスを含んだ汚れが流れ落ちます。手洗いの後は、しっかりとハンカチ等で水分を拭き取ことが重要です。手を振って水分を飛ばすと、ウイルスが手に残っていた場合に感染拡大につながる場合があるので、やめましょう。
手洗いはノロウイルスだけでなく、さまざまな感染症の予防につながります。正しい手洗いの方法を理解し、実践することで、予防につなげましょう。
余裕がある人は2度手を洗うとさらに効果がアップします。
ノロウイルスの予防に手洗いやマスクが効果がないという話があります。確かに、ノロウイルスは石鹸や消毒用アルコールで死滅することありません。また、ノロウイルスは小さいので通常のマスクではすり抜けてしまいます。
しかし、手洗いやマスクに予防効果がないわけではありません。手を石鹸で洗うことでノロウイルスを洗い流すことができます。指先よりも手首周辺に付着しやすいので、手首までしっかりと洗うようにしましょう。また、ノロウイルスは、ホコリや水滴に乗って空気中を漂っています。通常のマスクでも、それらを防ぐことは可能です。
手洗いやマスクは予防対策の基本であり、ある程度の予防効果が期待できます。
手洗いと正しい消毒は感染症予防の基本であり、ノロウイルスの予防にも効果が期待できます。食事の前やトイレの後には必ず手を洗う、吐瀉物やドアノブは適切な消毒液を使って処理する、といったことを徹底しましょう。