病院での薄毛(AGA)治療にはどんな種類があるの?

2018/2/13 記事改定日: 2019/3/8
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

男性型脱毛症(AGA)はテストステロンがジヒドロテストテロンに変化することで発症するといわれています。病院では様々なAGA治療がありますが、それぞれどのような違いがあるのでしょうか。この記事では、病院でのAGA治療について解説しています。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
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男性型の薄毛「AGA」とは

AGAとは男性型脱毛症のことであり、男性の約3人に1人が該当するとされています。
毛周期の過程で成長期が短くなり休止期にとどまる毛包が多くなってしまう病態であり、前頭部と頭頂部の髪が軟毛化して細く短くなります。

最終的には額の生え際が後退して頭頂部の頭髪がなくなってしまいます。
その原因はテストステロンという男性ホルモンの一種が5αリダクターゼという酵素の作用によって毛髪に対して攻撃性の高いジヒドロテストステロン(DHT)に変化することが原因とされており、このジヒドロテストテロンが髪の成長を抑制してしまいます。

男性型という名前がついていますが、女性でも起こることがあります。しかし、女性の場合は全体的に薄毛になっていくことが特徴です。

AGA薬物治療

AGAの薬物治療は主にフィナステリドとミノキシジルを用いて治療を行います。

フィナステリド(プロペシア®)

フィナステリドとはAGA薬物治療に多く用いられるプロペシア®の主成分のことです。
フィナステリドは、ジヒドロテストステロン(DHT)を増やす5αリダクターゼという酵素を抑制する働きがあります。この働きによってジヒドロテストテロンを抑制することで、抜け毛を防ぎます。
リビドー減退(性欲減退)、勃起機能不全などの副作用が起こる可能性があり、肝障害という重篤な副作用が起こる可能性もあります。

ミノキシジル

ミノキシジルはもともと高血圧の治療薬(血管拡張薬)として開発された薬でしたが発毛効果が認められたことで、発毛の外用薬として販売が開始されました。
ミノキシジルは毛母細胞に直接働きかけることによって毛母細胞の活性化や成長を促し、発毛を促進します。また、血流を改善させて髪の成長を促します。さらに、アポトーシスという自壊作用を抑制することによって成長期が長く続くようになっています。
副作用には血圧の低下やそれに伴う動悸、不整脈などの副作用があります。

デュタステリド(ザガーロ®︎)

デュタステリドは頭皮に塗るタイプの治療薬で、フィナステリド(プロペシア®)同様に、ジヒドロテストステロンを産生する酵素である5αリダクターゼの働きを抑制する効果があります。本来は、前立腺肥大症の治療薬として開発されてもので、5αリダクターゼの働きを抑えるという作用はフィナステリドと同様ですが、より高い効果があると考えられています。

また、デュタステリドは長期間にわたって使用を続けると、性欲減退や勃起障害、肝障害などの副作用を引き起こすことがあります。

飲む薬や塗り薬以外の薄毛の治療方法

自毛植毛

自毛植毛とは自分自身の後頭部から側頭部の頭髪を、薄毛が気になるところに再分配する移植技術のことを指します。後頭部や側頭部は薄毛を誘発する男性ホルモンの影響受けにくいとされています。
側頭部や後頭部の髪の毛を頭頂部に移植しても、毛髪を採取した部位の性質を引き継ぎ、太くふさふさの髪が生えてくることが多いといわれています。このことをドナードミントの法則といいます。

自毛植毛は、このドナードミントを応用した治療方法で、薄毛治療の診療ガイドラインでもすすめられている治療法です。
自分自身の髪を移植することから安全性も高く、拒絶反応などもほとんど見られずアフターケアやメンテナンスもほとんど必要ないとされています。
しかし、副作用が、痛みやしびれ、違和感やつっぱり感、かゆみなどが副作用として現れる可能性があることは理解しておきましょう。

毛髪再生医療

前述した治療法の他に、現在男性の薄毛の治療法として注目されているのが毛髪再生医療です。
毛髪再生医療には以下の3つの方法が現在行われています。

グロスファクター法

グロスファクター法は成長因子と訳されます。髪の成長に必要な不足している因子を補うことによって細胞増殖を促すシグナルを正常に戻し、薄毛の進行を阻止する治療法です。
頭皮に薬を塗った後にレーザーを照射する、もしくは頭皮に塗るタイプの麻酔などを使用した後に、成長因子を塗布し医療用の針のついたスタンプで頭皮に薬を浸透させるという方法を用います。

HARG療法(ハーグ療法)

こちらも成長因子を直接頭皮に注入する治療方法です。グロスファクター法と違う点は、脂肪幹細胞由来成長因子を薬剤に使用するため、薄毛の根本的治癒が期待できます。今まで生えてこなかった部分からも髪の毛が生えるようになる可能性があるのが特徴です。
レーザーの他にもガス圧での注入をする方法もあり痛みもほとんどないといわれています。

脂肪幹細胞療法

自身の脂肪から取り出した幹細胞を直接頭皮に注入する方法です。
アメリカで開発された治療方法でイギリスでの臨床研究により有効性や安全性が確認されている毛髪再生治療です。
幹細胞を注入することで頭皮の炎症や血流の改善をし、環境を整えることができるため、髪の毛を再生することができます。
治療は全身麻酔で行い、眠っている間に太ももから脂肪を採取して細胞を抽出、頭皮へ移植して終了となります。

おわりに:治療内容をきちんと理解し、自分にあった治療方法を選ぼう

頭髪はその人の印象を大きく左右させるため、薄毛が気になる方は多いのではないのでしょうか。
AGA治療には幅広い治療方法があります。どの治療にもメリットとデメリットがあり、どの治療が適しているかは個人個人で違ってきます。治療内容や治療効果だけでなく、副作用についても正しく理解し、自分に合った治療方法を検討することが重要です。

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