歯には原因のない歯痛 非歯原性歯痛とは?

2018/2/14

記事監修医師

日本赤十字社医療センター、歯科・口腔外科

川俣 綾 先生

歯が痛む「歯痛」には、歯が原因で起こるものと、歯以外の原因から起こるものがあることをご存知でしょうか。この記事では、歯以外の原因で起こる歯痛「非歯原性歯痛」について解説しています。

歯痛は大きく2種類ある?!

歯痛は大きく分けて「歯原性歯痛」と「非歯原性歯痛」の2種類があります。

歯原性歯痛とは歯髄炎、歯周炎、歯肉炎など歯科的原因による痛みのことです。
痛みに見合う歯科的な原因があり、かつ、局所誘発刺激に反応した場合は歯原性歯痛となります。

一方、非歯原性歯痛とは、歯や歯周組織に原因がないにもかかわらず歯痛が感じられる状態のことです。
非歯原性歯痛の場合は、歯そのものではなく別の部位に原因があると考えられています。
また、痛みに見合う歯科的原因があったしても局所誘発刺激に反応しない場合は、非歯原性歯痛に分類されます。

非歯原性歯痛の原因にはどんな種類があるの?

非歯原性歯痛の原因には大きく分けて咀嚼筋、神経障害性、神経血管性、精神性の4種類があります。

咀嚼筋が原因となる歯痛は筋性歯痛ともいわれ、咬筋、側頭筋、顎二腹筋の痛みが原因となります。顎を動かすと筋肉に痛みが生じますが、このとき「歯が痛い」と感じてしまうことがあります。
痛みの原因が生じた部位と異なる神経支配領域に感じられる痛みと定義される「関連痛」がこれにあたります。主に上下の奥歯が痛み、1日中痛むこともあれば痛みが出たりひいたりすることがあります。

神経障害性歯痛は特に持続性神経障害性疼痛の一症状として現れ、抜歯やインプラント手術時の神経損傷後、帯状疱疹のウイルス感染後により発症することが多く、抜髄や根管治療後にみられることもあります。
上顎の犬歯や下顎の奥歯付近に瞬間的に刺されたような痛みを感じる発作性神経痛とじりじりとした痛みが24時間絶え間なく続く持続性神経痛に分けられます。

神経血管性歯痛とは一次性頭痛に随伴する歯痛で片頭痛に随伴することが多いです。

精神性のものでは、統合失調症、うつの身体症状として歯痛が見られます。

非歯原性歯痛は治療できるの?

非歯原性歯痛はそれぞれ原因が異なるためその原因ごとの治療が必要となります。
それぞれ、前述した分類ごとに治療方法をご紹介します。

・筋性歯痛の治療
筋性歯痛は十分な根拠に基づいた薬物治療がありません。急性期であれば消炎鎮痛剤を用いて一時的に痛みを静めるという方法があります。
また、筋肉のストレッチやマッサージを通してコリをほぐし、血流を改善するという治療方法もあります。

・神経障害性歯痛の治療
神経障害性歯痛は薬物治療の効果が確立されているため、薬剤を用いた治療を行います。

・発作性神経痛の治療
発作性神経痛の場合はカルバマゼピンを中心とした抗てんかん薬を用いた治療が行われます。

・持続性神経痛の治療
持続性神経痛の場合にはプレガバリンという神経障害性疼痛の治療薬やアミトリプチリンなどの三環系抗うつ薬を単独もしくは併用で使用して治療します。
また、局所麻酔を痛みの部分に塗るという方法もあります。帯状疱疹が痛みの原因となっている場合には帯状疱疹の治療を中心に行っていきます。

神経血管性歯痛や精神疾患では原因となっている疾患の治療を行うことで歯の痛みの改善を期待することが推奨されています。

おわりに:非歯原性歯痛は原因にあわせた治療が大切

歯に原因のない非歯原性歯痛にはさまざまな原因があります。
そのため、原因に合わせて治療を行うことで痛みを効果的に改善することができます。
自分の歯痛の原因が何なのか、まずは専門医に相談しましょう。

厚生労働省 の情報をもとに編集して作成 】

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