巨赤芽球性貧血と悪性貧血との違いは何?

2018/2/14

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

貧血には様々な種類があり、それぞれで原因が違います。この記事では、巨赤芽球性貧血と悪性貧血について解説しています。どちらも一般的な貧血症状以外の症状が起こりますが、どのような違いがあるのでしょうか。

巨赤芽球性貧血について

巨赤芽球性貧血とは、正常な血液を作ることができなくなることで起こる貧血です。ビタミンB12と葉酸が欠乏することで起こります。

細胞が増殖するには、DNAの合成を行わなくてはなりません。その際、必要になるのがビタミンB12と葉酸です。ビタミンB12または葉酸が欠乏すると細胞分裂がうまくいかなくなり、血液を作る骨髄中にある赤血球になる前の未熟な細胞「赤芽球」が大きくなります。大きくなった赤芽球を巨赤芽球と言います。
巨赤芽球からできた赤血球も大きくなりますが、赤血球になる前に壊れてしまうため貧血が起こるのです。

同じように白血球や血小板も未熟な細胞になってしまい壊れやすくなり、すべての血球が少なくなります。これが巨赤芽球性貧血です。
症状としては、動悸、息切れ、全身の疲労感、疲れやすくなる、頭が重いなどの一般的な貧血症状が起こります。それに加えて舌の表面がツルツルになったり、舌炎などが起こる他、味覚障害、食欲不振、悪心、白髪が増えるなどの症状もあります。
さらにビタミンB12が欠乏している場合では、四肢がしびれる知覚障害や、歩けなくなる運動失調、意識混濁や興奮などの精神障害を起こすこともあります。

悪性貧血とはどんな貧血なの?

悪性貧血とは、巨赤芽球性貧血の中でも自己免疫の異常が原因で起こるものを呼びます。
かつては原因がわからず、治療法もない病気だったため「悪性」とついていますが、現在では原因も判明し、治療が可能になりました。

悪性貧血の原因は、慢性萎縮性胃炎という病気です。慢性萎縮性胃炎は自己免疫の異常で胃の粘膜に白血球が集まり、常にじわじわとした慢性的な胃炎が起こることで発症します。炎症が長期間続くと、胃酸を出す胃腺という部分が収縮して、胃の粘膜が薄くペラペラになります。これが緊縮性胃炎です。
緊縮性胃炎になると、胃から分泌されるキャッスル内因子が不足します。キャッスル内因子は食べ物から摂取したビタミンB12を吸収するために必要なため、ビタミンB12の欠乏が起こり、巨赤芽球貧血を発症します。

それぞれの治療法とは?

巨赤芽球性貧血の治療法は、まずビタミンB12と葉酸のどちらが不足して起こっているのかを血液検査によって調べます。

ビタミンB12は食事から摂りやすい栄養素のため、あまりに偏った食生活を送っている場合以外はビタミンB12吸収異常によって起こっている可能性が高いと考えられます。
治療ではビタミンB12を注射点滴で投与し、欠乏を補います。最初の2週間は連日(または週2~3回)投与し、その後は2~3カ月に1回投与していきます。ビタミンB12の吸収異常を根本的に治療することはできないため、定期的な補充の継続が必要ですが、症状の改善は可能です。

葉酸欠乏の場合は、偏った食生活やアルコールの摂りすぎなど葉酸が欠乏する原因を改善しながら、葉酸を経口投与して補充し治療します。葉酸の経口投与は数週間続ければ改善しますが、摂取量の不足や妊娠によって必要量が増えたことによる欠乏の場合は、葉酸を豊富に含む食べ物をとることを心がける必要があります。葉酸は、ほうれん草やレバー、イチゴなどの果物、豆類に多く含まれています。また、熱に弱いため調理法にも気を付けましょう。

悪性貧血の場合は、ビタミンB12欠乏が原因の巨赤芽球性貧血と同じ治療を行うことで症状を改善させることができます。ただし、悪性貧血の原因である慢性萎縮性胃炎は胃癌の発症リスクを高めるため、内視鏡検査などで経過を観察することが大切です。

おわりに:貧血は原因にあわせた治療が大切。必ず病院で検査してもらおう

巨赤芽球性貧血と悪性貧血は、どちらもビタミンB12や葉酸が不足することで起こります。不足している成分を治療や食生活改善で補うことで、症状を改善することが可能です。貧血症状が起こっていることに気付いたら、まずは内科を受診して血液検査を行い、原因をきちんと探ってもらいましょう。

厚生労働省 の情報をもとに編集して作成 】

関連記事

この記事に含まれるキーワード

貧血(82) 葉酸欠乏症(2) 巨赤芽球性貧血(5) 悪性貧血(3) ビタミンB12欠乏症(1)