脳動脈瘤の手術のリスクとは!?破裂の危険性を下げることはできる?

2018/2/23 記事改定日: 2018/12/12
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山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

脳動脈瘤(のうどうみゃくりゅう)は、脳の動脈(主に脳底動脈)の枝分かれ部分にできる瘤(こぶ)のことです。無症状のままのことも多いですが、神経症状を引き起こしたり、破裂してくも膜下出血に発展してしまう可能性があります。この記事では脳動脈瘤の特徴や治療について解説しています。

脳動脈瘤とは?どのくらいの大きさになるの?

脳動脈瘤とは、脳底部にある脳動脈の分岐部にコブができる病気です。大きさは、2ミリほどの小さいものから25ミリ以上のものまでありますが、大部分は10ミリ以内の小さなものです。

コブが破れていない状態の脳動脈瘤を未破裂脳動脈瘤、破裂し出血すると破裂脳動脈瘤と呼びます。

未破裂脳動脈瘤は無症状のことが大半であり、頭痛やめまいのために検査を受けたり、脳ドックなどでMRI検査を受け、初めて見つかる場合が多いです。
脳動脈瘤は脳ドックを行えば、正常な方の約5%、親兄弟にくも膜下出血の方がいる方では約15%に、未破裂脳動脈瘤がみつかるといわれています。

脳動脈瘤が破裂して出血すると、くも膜下出血を発症します。くも膜下出血になると、約半数は即死、あるいは昏睡状態に陥るされ、病院で最善の治療を受けても病気発症前の状態で社会復帰できるのは約25%といわれている恐ろしい病気です。

現段階で未破裂脳動脈瘤が破裂する正確な率は不明ですが、世界中から報告された年間破裂率は約1%といわれています。

脳動脈瘤の症状は?破裂の前兆はあるの?

脳動脈瘤ができる場所によっては、周辺の神経を圧迫して動眼神経麻痺による眼瞼下垂などの症状を引き起こすこともありますが、脳動脈瘤は破裂する前に特別な自覚症状が現れることはほとんどありません。

また、破裂の前兆として、軽度な頭痛や頭の中が引っ張られるような感覚を自覚したり、目のまぶしさや物が二重に見えるなど目の不調が現れることがあります。脳動脈瘤があることが分かっている人は、これらの症状が見られた場合は注意しましょう。

脳動脈瘤の手術の必要性は?どんなリスクがあるの?

現在出血していない未破裂脳動脈瘤は、いつ破裂するかはわかりません。
上記でも説明したように、脳動脈瘤が破裂してしまった場合、命の危険や重い後遺障害が残るくも膜下出血を発症します。
くも膜下出血を未然に防ぐためにも、脳動脈瘤は治療の必要があるのです。

脳動脈瘤の治療は、外科的処置(手術)と定期的検査で経過観察を行う方法があります。
手術を行わなければならないのは、破裂脳動脈瘤と、脳動脈瘤による圧迫で神経症状が出てしまっている場合です。

外科的処置には、開頭手術と血管内手術があります。開頭手術では、頭蓋骨を開いて正常な血管と脳動脈瘤の境界を金属製の動脈瘤クリップで挟み込み、脳動脈瘤に血流が入らないようにします。
血管内手術では、細いカテーテルを脳動脈瘤の中まで入れ、白金製のコイルを使い脳動脈瘤の内側をつめて脳動脈瘤に血液が入らないようにします。

未破裂脳動脈瘤の場合、70歳以下で動脈瘤の最大径が5ミリ以上、かつ外科的治療の妨げになる条件がない場合には開頭手術、あるいは血管内手術をすすめています。しかし、まだ症状が出ていない脳動脈瘤の場合は、すべてが破裂するわけではないため、主治医とよく相談のうえ、慎重に治療方法を選択しなければいけません。

脳動脈瘤の手術のリスク

脳動脈瘤の手術には外科的処置と血管内手術がありますが、どちらもリスクがあります。
外科的処置では、開頭手術が必要になるため体への負担が大きく、手術操作によって正常な脳にダメージを与えて感覚・運動障害を引き起こすことがあります。また、術後は細菌感染による髄膜炎を生じるリスクがあり、クリッピングして周囲の血管が攣縮して一時的な脳虚血を引き起こすことも少なくありません。

一方、血管内手術は足の付け根からカテーテルを挿入する治療であり、身体への負担は解凍手術に比べて軽減することができます。しかし、術中に血栓を生じて脳梗塞や心筋梗塞などを引き起こすことがあります。また、治療は血栓形成を予防するために抗凝固薬を投与しながら行われますが、術中に急激な血圧の上昇などが生じると脳出血を発症する可能性も考えられます。

脳動脈瘤破裂のリスクを下げることはできる?

脳動脈瘤が破裂する割合は、大きなものであっても年間2%ほどといわれています。ある医療機関が行った日本未破裂脳動脈瘤悉皆調査の中間報告では、年間破裂率は1%弱となっています。そのため現段階では、脳動脈瘤が小さい場合は手術を行わず、定期的にMRIなどで経過観察をしながら破裂をふせぐ生活改善を行うことが望ましいといわれています。

脳動脈瘤の出血を高める環境要因は、喫煙、高血圧、大量飲酒の3つです。
タバコの煙に含まれるニコチンや一酸化炭素は血管を収縮させる作用があり、血圧を上げて脳動脈瘤に悪影響を及ぼします。大量の飲酒も高血圧を悪化させます。脳動脈瘤と診断されたら、まずは喫煙や節酒をして血圧を下げる食生活を心がけましょう。

高血圧を防ぐ食事療法としては、塩分を控えて野菜をたっぷりとるということがポイントです。
塩分の目安量は、1日6g以下とされています。塩分1gは、醤油であれば小さじ1杯、味噌で大さじ1杯、梅干し2分の1個分ほどです。ラーメンやカップ麺などは1杯で5~7gの塩分が入っていますし、ウインナーやかまぼこなどの加工食品も塩分が多めです。

ラーメンの汁は飲まない、加工食品は控えめにするなどして塩分摂取量を減らしましょう。生野菜に含まれるカリウムは、余分な塩分を排出してくれる効果があるので積極的に食べることをおすすめします。

おわりに:高血圧は万病のもと。脳動脈瘤がなくても、健康的な生活習慣を送るようにしよう

脳動脈瘤は、破裂してしまえばくも膜下出血という命にかかわる病気につながります。しかし、破裂しない可能性も多いため、治療には主治医との相談が大切です。

脳動脈瘤と診断されたら、まずは破裂を防ぐための生活改善を心がけながら、主治医とよく相談のうえ、治療方針を決めていきましょう。また、高血圧は脳動脈瘤の破裂以外にも、様々な病気の発病リスクを高めます。
この機会に生活習慣を改め、健康的に過ごすように心がけましょう。

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