記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/10/16 記事改定日: 2018/12/12
記事改定回数:1回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
未破裂脳動脈瘤とは、まだ破裂していない動脈瘤のことです。破裂してしまうとくも膜下出血を発症することになりますが、破裂する確率は低いため、すぐに治療する必要はないことが多いです。
この記事で未破裂脳動脈瘤の治療の必要性について学んでいきましょう。
脳には多くの動脈が張り巡らされていて、動脈は特定の部位が膨らみ、こぶのようになる現象が起こることがあります。この現象が脳動脈瘤です。
脳の動脈瘤が破裂するとくも膜下出血が起こりますが、まだ破裂してない状態の脳動脈瘤のことを未破裂脳動脈瘤と呼びます。
未破裂脳動脈瘤がすぐに破裂する確率はそこまで高くありません。治療は動脈瘤の状態や患者の体力によって方針を決めていきますが、少なからず破裂の危険性があり治療をしなければ回復する見込みはほぼないため、治療が必要かどうかの判断は重要になってきます。
脳内で動脈瘤が出来る場所は、当然のことながら動脈に限定されます。
そのなかでも大きいサイズの脳動脈瘤が出来やすいのは、ある程度大きさがある血管です。
脳内の動脈で大きいものは前方と後方の二カ所にあり、そのどちらかにできることが多いといわれています。
できやすい場所として挙げられるのは内頸動脈後交通動脈分岐部と前交通動脈、さらに中大脳動脈第一分岐部と脳底動脈終末部ですが、小さいものであればどの場所にできても不思議はありません。
二カ所同時にできることも珍しくないため、頭痛があったり、ものが二重に見えるという自覚症状がある場合は、早めに脳神経外科で検査を受けるようにしましょう。
脳動脈瘤ができる一番の原因は動脈硬化です。高血圧や高脂血症などの生活習慣病によって動脈硬化が引き起こされると、血管壁は硬くなって柔軟性を失います。
その結果、血圧の変動などの衝撃に耐えられずに、脆弱化した血管壁の一部が瘤のように膨れた状態となります。この瘤が「脳動脈瘤」の正体であり、主に血管の分岐部など負荷がかかりやすい部位にできやすいとされています。
そのほかにも、遺伝や感染、弾性線維に異常が生じる先天性疾患などが発症に関与している場合もあります。
未破裂脳動脈瘤は通常であれば破裂する可能性が低く、治療に至るまで時間の猶予があります。そのため治療方針をじっくりと検討することが可能です。
未破裂脳動脈瘤は脳神経外科による外科手術で治療され、クリッピング術とコイル塞栓術という方法があります。クリッピング術はネックと呼ばれる脳動脈瘤の根元をクリップで挟み込み、血流が入り込まないように処置をします。一方で、コイル塞栓術は脳動脈瘤の中にコイルを埋め込むことで動脈瘤そのものを血栓にしてしまうものです。
クリッピング術は頭蓋骨に穴を開ける必要がある代わりに手術が成功すれば危険性がほぼ除去されます。
コイル塞栓術は頭を開ける必要はないものの動脈瘤が血栓として安定するまでに時間が掛かります。どちらもメリットとデメリットがあるため、医師と相談しながら納得できる方法を選択しましょう。
未破裂動脈瘤は手術後に再発することがあります。
とくにコイル塞栓術の場合は、動脈瘤の閉塞が十分でないと瘤が再発する可能性が高くなります。また、脳動脈瘤の原因として考えられる高血圧や高脂血症などの生活習慣病や喫煙習慣などを改善しないと、治療後にも他の部位に新たな脳動脈瘤が形成されることもあります。
このため、術後も定期的に検査を行って経過観察する必要があり、脳動脈瘤発症の要因の治療を続けていく必要があるのです。
未破裂脳動脈瘤が破裂する確率は非常に低いため、治療方法を選択するために考える猶予があります。ただし、破裂する可能性はゼロではないため、いずれ治療が必要になるでしょう。医師と相談しながらゆっくり考え、納得のいく治療方法を選ぶようにしましょう。
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