記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/2/16
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
低血糖は、血液中の糖分(ブドウ糖)が著しく少なくなってしまう状態です。糖尿病患者(1型糖尿病を含む)に起こりやすく、発症すると命に危機が及ぶ可能性があります。この記事では、糖尿病の低血糖状態の対策について解説しています。
低血糖とは、糖尿病で投薬を受けている患者に起こりやすい緊急の状態です。
血糖値が70mg/dL以下になると血糖値を上げようとして体に変化が起こりますが、50mg/dL未満になると、脳などの中枢神経がエネルギー不足になり、さまざまな症状が発現します。この症状を「低血糖症状」と呼びます。なお、50mg/dL以上あっても血糖値の急降下で低血糖症状が現れる場合もあるので注意が必要です。
症状は、「交感神経症状」「中枢神経症状」「その他」の3カテゴリーに分かれます。
大体70mg/dL以下になると発汗や不安感、脈の加速、手や指の震え、顔色の青白さなどの「交感神経症状」を引き起こしやすくなります。
50mg/dL前後では、頭痛や目のかすみ、集中力低下などの「中枢神経症状」を引き起こし、50mg/dL未満では、異常行動や痙攣、昏睡状態などに陥る危険があります。
最悪の場合、危険が命に及ぶこともあるため、低血糖の場合は早い段階で対応をしなければなりません。
糖尿病の投薬治療(インスリン治療)を受けている人の低血糖は、薬や注射によるインスリン量が、身体が必要とするインスリン量を上回った状態で起こります。原因となる状況には、食間の時間をあけ過ぎた、食事量が不足していた、過度な運動や動作をした、朝食前に運動した、飲み薬やインスリン量を誤った、インスリン注射後すぐに運動をした、血糖値の変動が大きい、などが挙げられます。
低血糖の症状を自覚したら、砂糖などのブドウ糖を口にしましょう。ブドウ糖を10~15g摂取してから安静にし、可能なら血糖値も測定してください。15分待っても回復が見込めないなら、ブドウ糖をさらに口にしてください。
低血糖症状が出ているのに、次の食事時間までブドウ糖の摂取を我慢しようとすることは危険です。また、低血糖時に車を運転すると重大な事故を起こす可能性があります。症状を感じたら、周囲の安全を確認しながら路肩に車を止めて、低血糖への対処をしましょう。
低血糖に陥ったときは、家族や周囲の人に手助けを求めることも大切です。症状が悪化して意識障害などが起これば、自分自身での対処は難しくなります。家族や周囲の人の手助けを得るために、下記の対処法を事前に伝えておきましょう。
・低血糖の症状が起こったら、コップ半分にブドウ糖を溶かしたものを飲ませる
・それでも回復が見込めない、または(昏睡などで)飲むことが難しい場合には、注射で対応する
・注射から5分経っても症状の改善しなければ、すぐに救急車を呼ぶ
・もし意識が回復したら、糖分や炭水化物を口にさせ血糖値回復をはかる
低血糖は、血糖値の大幅な低下により痙攣や昏睡をも引き起こす可能性があるため油断できません。個人でもすぐ対応できるようブドウ糖を常に身につけたり、家族や身近な人の協力が不可欠です。自覚のある方は、しっかりと対応をしていきましょう。