過換気症候群には治療薬が無いって本当?

2018/2/23

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

過換気症候群とは、過呼吸状態になって息苦しさを感じたり、手足が痺れたりする症状です。意識的にゆっくりと呼吸したり、一時的に呼吸を止めたりすれば治る症状なので、治療薬はありません。しかし、場合によっては薬が処方されることがあります。どのような場合に、どんな薬が処方されるのでしょうか。この記事で解説したいと思います。

過換気症候群とは?

過換気症候群とは、過呼吸状態になって息苦しさを感じたり、手足が痺れたりする症状です。過呼吸症候群は激しい運動をしたときに起こるのに対して、過換気症候群は精神的な緊張が主な原因で発症します。めまいや動悸を覚えたり、胸の痛みを感じたり、実際に死ぬことはありませんが、窒息死の恐怖に脅えることもあります。
パニック障害や強い不安から必要以上に呼吸すると、血液中の二酸化炭素の濃度が下がります。すると、反射によって呼吸が抑えられ、息苦しさを感じて余計に呼吸しようとするため、症状がますます悪化します。これが過換気症候群の直接的な症状です。また血液がアルカリ性になるため、血管が収縮して筋肉がけいれんすることもあります。
過換気症候群は、意識的にゆっくりと呼吸するか、一時的に呼吸を止めれば治ります。しかし、本人はパニック状態に陥っている場合が多いので、周囲の人が落ち着かせることが大切です。

過換気症候群には治療薬が無いの?

過換気症候群自体は、薬では治療できません。不安かもしれませんが、命に関わる病気ではないので、できるだけ落ち着いて対処することが重要です。ただし、不安があまりにも大きい場合には、精神科や心療内科で適切な薬を処方してもらうのもひとつの方法です。
過換気症候群は精神的なストレスが一番の原因ですから、ストレスを和らげることで予防できます。そのために、発作時と間欠期に分けて2種類の薬剤を使用します。発作時には即効性のある抗不安薬、なかでもベンゾジアゼピン系の抗不安薬が効果的です。発作が起きてからだと服用するのが大変なので、発作が起こりそうだと思ったらすぐに服用する必要があります。間欠期には、作用が比較的弱く、効き目の長い抗不安薬を使用します。抗不安薬には依存性や耐性ができる恐れがあるため、長期間にわたって服用し続けることは推奨されません。なお、強い不安があるときは抗うつ薬も選択肢のひとつになります。

漢方薬が使用されることもあるって本当?

過換気症候群の治療で漢方薬が使われることもあります。即効性はありませんが、不安やパニックになりやすい体質を改善して、間接的に発作を起こしにくくするために使用されます。漢方薬は患者の体質によって種類を選ぶ必要があり、誰にでも同じように効くわけではありません。どの漢方薬が効くのか、専門家に見極めてもらうことが大切です。
過換気症候群の治療に使われることが多い漢方薬として、喉の詰まりを解消する半夏厚朴湯や、興奮しやすい神経を抑える柴胡加竜骨牡蛎湯などがあります。神経が過敏な方には柴胡桂枝乾姜湯が、虚弱体質の方には加味逍遥散が向いています。その他にもさまざまな薬があり、症状に合わせて使用されます。
漢方薬には依存性がなく、安全なイメージがありますが、急な発作には間に合わないことがあるため、気長に治療する心構えが必要です。強い不安をすぐに鎮めたいときは、抗不安薬を使うほうが効果的です。

おわりに:過換気症候群では、不安が特に強い場合に抗不安薬などが処方される

過換気症候群そのものを治療する薬はありませんが、不安が特に強い場合には抗不安薬や抗うつ薬が処方されることがあります。また、不安やパニックになりやすい体質を改善する目的で、漢方薬が処方されることもあります。

厚生労働省 の情報をもとに編集して作成 】

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