記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/2/22 記事改定日: 2019/1/9
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
一ヶ所の骨折がきっかけで、他の部位にも骨折が広がってしまう「ドミノ骨折」。
とくに高齢者はリスクが高いとされていますが、このドミノ骨折を予防するにはどんなことに気をつけたらいいのでしょうか?
家庭でできる対策を紹介していきますので、高齢者や骨粗鬆症の家族がいる人は参考にしてください。
ドミノ骨折とは、一度の骨折をきっかけとして、他の部位も次々を骨折してしまうことです。骨折の連鎖をドミノ倒しに例えてドミノ骨折と呼んでいます。
とくに高齢者は骨折からドミノ骨折を引き起こしやすいだけでなく、背骨や大腿骨などの日常生活を送る上で重要な骨がドミノ骨折を起こすこともあります。
高齢者が背骨や大腿骨を骨折すると、3人に1人が1年以内に再び背骨や大腿骨をドミノ骨折することが分かっています。さらに、高齢者で骨粗鬆症を発症している場合は、骨折していたとしても痛みを感じません。
知らぬ間に骨が折れていたということが起こります。その結果、ある日突然体が動かなくなり、寝たきりの状態になってしまうこともあります。
骨粗しょう症を発症している高齢者の場合、ドミノ骨折が起きていたとしても自覚症状がないために発見が遅れてしまうことがあります。
ドミノ骨折を早く見つけるコツやリスクがあることを自覚するために、以下の2つの対策をとりましょう。
骨折を早期発見するためには、骨密度検査を定期的に行うことが大切です。特に、女性は閉経後、急激に骨密度が低下します。
女性の場合は50歳を過ぎたら年に1回のペースで検査を行うとよいでしょう。また男性の場合は70歳を過ぎたら2年に1回は検査を受けるようにしましょう。
骨密度検査は保健所や病院で受けることができます。また、急に姿勢が変化したり、身長が縮んだりした場合には骨折の疑いがあります。その場合には病院を受診しましょう。
加齢とともに運動機能が低下すると、転倒しやすくなり、骨折のリスクが高まります。
そのため、今の自分の運動機能の状態を客観的に把握することも大切です。
もし運動機能が低下している場合には転倒しないように注意することで、骨折のリスクを低減させることができます。
自分の運動機能の状態を調べるために、開眼片足立ちテストを行いましょう。
目を開けたままで片足立ちの状態になって15秒以上キープできるかどうかを調べてください。
15秒以上キープできない場合は、筋肉やバランス感覚等の運動機能が低下している可能性があります。
さらに日常生活の中で、椅子から立ち上がるときに、何かに手を添えないとよろけてしまったり、小さな段差や平地でつまずくことがあったり、歩く速度が遅くなったりしたら運動機能の衰えのサインです。
ドミノ骨折の予防法としては、大きく「運動」と「環境づくり」、「食事」の3つのアプローチがあります。
運動は「骨や筋肉を鍛えること」が目的です。
骨は負荷をかけることで骨量が増加し、強化されます。ウォーキングやジョギングは、一定の負荷をかけられるのでおすすめです。
さらに効率よく鍛えたい場合には、縄跳びや階段の昇り降りを実施するとよいでしょう。なお、60歳以上の男性や更年期以降の女性は、骨量等の検査を受けてから運動をスタートさせた方がよいです。
また筋力については、下半身の筋肉を鍛えるスクワット運動がおすすめです。スクワット運動なら膝を曲げる角度や実施回数によって強度をコントロールできます。腰痛や膝痛を抱えている方は、無理しないようにしましょう。
環境づくりとしては、転倒を防ぐために、部屋や階段、浴室などに手すりをつけたり、滑りやすいスリッパや靴下は避けるようにしましょう。
ドミノ骨折を予防するには、十分な骨密度を維持して骨を丈夫にするため毎日の食事にも注意する必要があります。
積極的に取り入れたい栄養素は、骨の主成分であるカルシウムやカルシウムの吸収を促すビタミンDです。また、タンパク質やビタミンKも骨のコラーゲンを丈夫にする働きがあるので、十分に摂りたい栄養素の一つです。
カルシウムを多く含む食材は、牛乳やヨーグルトなどの乳製品、ビタミンDを多く含むのは鮭やうなぎ、いわしなどの魚介類です。また、タンパク質は豆腐や納豆などの大豆製品、鶏むね肉やささ身などの低脂肪な鶏肉から摂るのがおすすめです。ビタミンKは納豆や小松菜などに多く含まれています。
さらに、閉経後の女性では女性ホルモンと同様の作用を持つと言われているイソフラボンを多く含む大豆製品や豆乳を多く摂るようにしましょう。
これらの食材をバランスよく摂ることで、ドミノ骨折の予防につながります。おすすめのレシピを3つご紹介するので、ぜひ試してみてください。
納豆は良質なたんぱく質とイソフラボンを含みます。小魚と和えることでカルシウムもしっかり摂ることができるおすすめレシピです。
ほうれん草は軽く茹でてアクを抜き、細かく刻みます。小魚(アーモンド入りでも可)をフードプロセッサーなどで細かくし、納豆、ほうれん草に混ぜ入れてタレを加え、よくかき混ぜれば完成です。
ビタミンKを多く含むゴーヤとタンパク質・イソフラボンを含む厚揚げを使用し、カルシウムが豊富な桜エビを使用して骨を丈夫にするレシピです。満足感のある主菜にもなります。
厚揚げは油抜きをして適当な大きさにカットし、ゴーヤも半月状に薄切りにします。フライパンでゴーヤ、厚揚げを十分なごま油で炒めてしょう油、砂糖、塩コショウなどで味付けし、溶き卵を回し入れます。卵が半熟状になったら桜エビを投入して完成です。
デザート感覚で手軽に飲めるスムージーもカルシウムやビタミンKなどの栄養素を加えればドミノ骨折予防メニューになります。
よく洗って適度な大きさにカットした小松菜とバナナ、牛乳をミキサーに投入し、はちみつやヨーグルト、砂糖などでお好みに味付けして十分に撹拌すれば完成です。
牛乳ではなく、全てヨーグルトにすればデザートとしていただくこともできますよ。
高齢の方は加齢による筋力低下や、転倒・骨粗しょう症のリスクの増大によって、他の世代よりもドミノ骨折のリスクが高いです。また骨粗鬆症を発症した状態で骨折が起きると、痛み等の自覚症状を感じず、突然寝たきりになってしまう恐れもあります。
年齢が高くなってきたら、定期的に骨密度の検査を受け、運動や食事、住居環境を工夫するなどして予防しましょう。
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