足の捻挫の合併症として起こりやすい、足関節不安定症とは?

2018/2/21

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

足関節不安定症とは、足を捻挫した後に足の関節が不安定になってしまう症状です。この記事では、足関節不安定症を発症する原因とともに、放置してしまったときに考えられる症状について解説します。

捻挫はどんな状態のことを指すの?

「捻挫(ねんざ)」は、体を不自然な状態でひねることで関節を痛めるケガのことです。関節に無理な力が加わって、関節内の骨をつなぐじん帯が伸びたり、切れたり、周辺の組織を損傷したりします。ひねった時の力のかかり具合によっては、筋肉や腱、軟骨を傷つけたり、骨の一部がはがれる場合もあります。捻挫は足首や指などに多くみられますが、体の全ての関節で起こる可能性があります。いわゆるぎっくり腰(腰椎捻挫)、むちうち症(頸椎捻挫)も、捻挫をともなう疾患です。
捻挫は、じん帯の傷つき具合で3つのレベルに分けられます、一時的に伸びただけでなく、部分的に切れてしまうと(レベル2)、うずくような痛みや腫れが起こって皮下出血の範囲が広がります。完全に切れてしまうと(レベル3)、それらがひどくなるだけでなく、関節が不安定になり、足首などの場合には痛みで体重をかけられなくなってしまいます。

足の捻挫の合併症:足関節不安定症とは?

「足関節不安定症」は、捻挫後に足の関節が不安定になってしまう疾患で、「捻挫ぐせ」とも呼ばれています。捻挫後にきちんと治療せず、じん帯が緩んだり、骨の一部分がはがれた状態のまま治ってしまったりした場合に起こります。じん帯が緩むと、骨同士の固定性が下がるので足首が不安定になり、捻挫の動きにブレーキをかけられなくなってしまいます。
足関節不安定症は、スポーツ選手に多くみられるものです。足関節に捻挫を起こした選手のうち、2人に1人は再び捻挫を起こし、それを繰り返すうちに足関節性不安定症に至ります。足関節が不安定になると、歩くときにうまく足首に荷重をかけられず、膝や股関節でかばうようになってしまうため、膝関節や股関節に痛みを引き起こすことがあります。また、小児期の捻挫の場合、じん帯とともに軟骨成分が引っぱられてはがれてしまうことがあります。治ったように見えても、中高生になってから足首の捻挫を繰り返すことも多くみられます。

足関節不安定症を放置しているとどうなるの?

足関節不安定症を放置すると、関節のすき間や緩みによってすれた部分にトゲ状の骨ができることがあります。トゲの骨は増殖して、周辺組織である関節を包む袋をはさんだり、骨を刺激したりして、炎症を起こす場合があります。また、足首を上に上げる動作がしづらく、しゃがむことができなくなったりします。そして、「衝突性外骨腫」と呼ばれる、足関節前面の違和感や、膝から足首部分の異常なはり感、荷重時や運動時・運動後の痛みなどが起こるようになります(サッカー選手などに多い症状のため、「フットボーラーズアンクル」と呼ばれています)。進行すると骨が剥がれ、関節ねずみ(軟骨や骨の小片が関節内に遊離して動き回るもの)がみられるようになり、骨やじん帯の状態によっては手術が必要になる場合もあります。日常生活や運動時に痛みがなかったとしても、足首に違和感があれば早めに整形外科を受診してください。

おわりに:再発する捻挫は足関節不安定症かも。違和感があれば早めに整形外科を受診しましょう

捻挫は痛みがなくなったら治ったと思いがちです。しかし、足首のまわりは気づかないうちに不安定化し、症状が深刻化すれば手術が必要となる場合もあります。捻挫したときや捻挫後に足首などに違和感があれば、早めに整形外科を受診しましょう。

厚生労働省 の情報をもとに編集して作成 】

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