産後の便失禁について:悩んでいるのは高齢者だけじゃない!

2018/2/22

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

便失禁とは、自分の意思とは関係なく便がもれてしまう症状です。この症状は高齢者に多いと思われがちですが、若い人の中にも、この症状で悩んでいる人が多いと言われています。どのような人が便失禁に悩んでいるのかを解説します。

便失禁で悩んでいるのは・・・

「便失禁で悩んでいる人がいる」と聞くと、多くの人は高齢者を思い浮かべるかもしれません。でも、便失禁で悩んでいるのは高齢者だけではありません。あるアンケート結果で、実は30代女性の約7%が便失禁で悩んでいることが分かったのです。なぜ、30代の女性が便失禁に悩まされるのでしょうか。その理由として、出産時の肛門括約筋や神経損傷、過度のストレスによる過敏性腸症候群などが考えられています。

産後に便失禁が発症しやすくなる原因とは?

30代女性が便失禁に悩まされる最も多い理由は出産です。出産時に赤ちゃんを摘出する際、圧迫と牽引で陰部神経障害があると、産後の便失禁の原因になると言われています。
また、出産時に会陰裂傷をしてしまうと、肛門括約筋(肛門を閉めるための筋肉)が低下してしまうことがあります。この筋肉が衰えることも、出産後の便失禁につながりやすいと言われています。
また、会陰裂傷にはいくつか種類があり、中でも第3度会陰裂傷(肛門括約筋が断裂したもの)や、第4度会陰裂傷(会陰から肛門、直腸粘膜までが損傷)に関しては早期から症状がみられる反面、第1度会陰裂傷(会陰部の皮膚や膣壁粘膜表面のみ)や第2度会陰裂傷(皮膚とその下の筋肉層まで損傷が及ぶもの)は、その時に症状が無くても、後で便失禁の症状になることもあります。
さらに、出産で骨盤底筋も衰えます。骨盤底筋とは、膀胱や子宮、直腸などが下がらないように骨盤を支えている筋肉です。妊娠中は、胎児や羊水の重みなどを支えているため負担がかかっていますが、出産によってさらにダメージを受けます。この筋肉は出産でダメージを受けても少しずつ修復していきますが、ケアが不十分だったり、何度も出産を経験したりするとダメージが修復されず、便失禁の原因となります。
出産に伴う便失禁のリスクがある人は、分娩回数が多い人、自宅分娩をした人、初めて経腟分娩をした人、分娩過程において鉗子分娩を行った人、赤ちゃんの大きさが4,000g以上だった人、分娩第 2 期が長引いた人などです。

症状が長く続く場合はQOLへの影響も多大。恥ずかしがらずに専門医に相談を!

出産によってダメージを受けた骨盤底筋群や肛門括約筋は、時間が経つとともに、あるいは適切なケアを行うことで元に戻すことができます。これにより、便失禁の症状も改善していきます。
しかし、症状が長く続く場合は要注意です。症状が長引けば外出にも支障が出ますし、日常生活でも苦痛を強いられる場面が多くなります。
産後の便失禁に対する治療法も、そのほかの原因による便失禁の治療法も特に変わりなく、外科的な治療や保存的治療が行われ、ほとんどが保険適用内で治療を受けられます。恥ずかしがらずに、一度専門医に相談してみることをおすすめします。

おわりに:産後の便失禁は、専門的な治療やケアで改善できる

30代という若い年代でも悩んでいる人が多い便失禁。治らない病気ではないため、専門的な治療やケアを行うことで早期の改善を図ることも可能です。特に出産直後は自分のことに気が回らないかもしれませんが、便失禁が長く続いていて気になる場合は、早めに医療機関で相談しましょう。

厚生労働省 の情報をもとに編集して作成 】

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