遠視の老眼の対策にコンタクトレンズが有効って本当?!

2018/7/27

渡辺 先生

記事監修医師

東京都内大学病院眼科勤務医

渡辺 先生

遠視だった人がそのまま老眼に移行してしまった場合、コンタクトレンズによる対策が有効と言われています。今回の記事では遠視と老眼の違いや、コンタクト選びのコツなどをお伝えしていきます。

遠視がどのような状態なのか確認しよう!

ものが見えにくくなる状態の一つとして、遠視があります。遠視の人の目の中では、角膜・水晶体を通過した光が、網膜ではなくそれよりも遠くの位置で焦点が合うように屈折しています。

なぜそのように焦点が合わないのかというと、眼軸(眼球の長さ、すなわち角膜から網膜までの距離)が短すぎることが原因です。眼球の大きさは大人になるにつれて大きくなるのですが、遠視の人の場合はその成長が十分に行われないことで焦点が合わなくなります。逆に眼球が小さくなることはないので、後天的に小さくなってしまうことはありません。ですから原因には遺伝と体質が挙げられます。

遠視になるとどのようなものの見え方になるのかというと、網膜よりも後ろで焦点が合うので、遠くのものも近くのものもぼやけて見えます。すると屈折した状態を修正しようと、目は必要以上に焦点の調整を行うため、目には大きな負担がかかり疲れ目や肩こりが起きやすくなります。

遠視と老眼の違いは?

目の屈折異常というと、遠視の他にも老眼があります。いずれも網膜の後ろに焦点があたるように屈折しているために、ものがぼやけて見えにくくなるという点は似ています。しかし遠視は眼軸が短いだけで、レンズの役割を果たす水晶体の調節機能に異常があるわけではありません。そのため近くのものも遠くのものも同じようにぼやけて見えます。

対して老眼は、加齢により水晶体の調節機能に関わる毛様体筋が衰えているために、焦点の距離を変えることが出来なくなり、遠くのものに焦点が合わなくなる状態です。年齢を重ねれば誰にでも起こりうる症状と言えます。

他にも違いを挙げるとすれば、遠視の場合には何もしなければ焦点が網膜よりも奥側になっているわけですが、症状が軽ければ水晶体の調整機能に負荷をかければものを見ることが出来ます。一方で老眼はその調整が出来ないわけですから、メガネやコンタクトなどで矯正しなければものを見ることが出来ません。

遠視の老眼の特徴とコンタクトの選び方

遠視だった人が、年をとると老眼になってしまうことがあります。若い頃は、水晶体の調節機能を使って焦点をあわせることが出来るので、裸眼でもものを見ることが出来ます。ですが水晶体の調節をする毛様体筋が衰え、焦点をあわせることが出来なくなると、焦点が合わせられなくなります。その結果、全てがぼやけて見えます。

このような状態を改善するためには、コンタクトレンズで矯正することが効果的です。コンタクトを使うときは、以下の5つのポイントを心がけてください。

一つ目は、これまで使っていたコンタクトレンズよりも度数を弱くすることです。負担が軽くなり見えやすくなります。

二つ目は遠用コンタクトレンズと老眼鏡を使いわける方法です。ものの見え方が鮮明になります。

三つ目は近用コンタクトレンズと遠用メガネ、或いは遠近両用メガネを使う方法です。近くで物を見る作業が多い人には最適です。

四つ目は左右の目で遠用と近用のコンタクトレンズを使い分ける方法です。コツがいりますが慣れれば楽です。

五つ目は、近くを見るか遠くを見るかの用途によって遠用と近用を使い分ける方法です。最終的には遠近両用コンタクトレンズを試すのもおすすめです。

おわりに:ライフスタイルや見え方にあったコンタクト選びを!

遠視と老眼を併発していると、日常生活で色々と不便を感じることがあるかと思いますが、用途や状態に合わせてコンタクトレンズやメガネをうまく使うことで、ものが見やすくなることが期待できます。ぜひお試しを。

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