記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/2/27 記事改定日: 2019/5/8
記事改定回数:1回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
気温の高い環境に体が適応できなくなると、熱中症を発症します。熱中症の症状として、めまいや立ちくらみなどがありますが、実は下痢も症状のひとつとしてあらわれることがあります。この記事では、熱中症が原因で下痢になってしまう原因や対処法を解説します。
もともと下痢の症状があると、熱中症を起こしやすいと言われています。しかし実は、熱中症が原因で下痢になるという逆の場合もあるのです。
熱中症が下痢を引き起こす原因は、主に3つあります。
1つ目の原因は、サイトカインという物質によるものです。サイトカインとは体の中で炎症が起きているときに増える物質のことで、熱中症のときにもこのサイトカインが増えて下痢を引き起こします。
2つ目の原因として、体が脱水状態になって血液の量が減ってしまうことが挙げられます。血液量が少なくなると腸の動きが悪くなるため、下痢を起こします。
そして3つ目の原因として、大量に汗をかいた後、水分補給のために一気に水を飲むことも下痢の原因となります。腸は大量の水を一度に吸収できないため、便が水っぽくなってしまうのです。
下痢の症状があるかどうかに関わらず、基本的には熱中症に対する治療は変わりません。その上で、下痢の症状を悪化させないようにすることが大切です。
まずは、水分補給をしっかりと行いましょう。熱中症や下痢で脱水すると、ビタミンやミネラルも失われます。これらを補給できるスポーツドリンクや経口補水液がおすすめです。また、下痢を起こしているときは腸の動きも落ちています。おかゆや野菜、果物のすりおろしなど、消化しやすいものを食べるようにしましょう。そして、味付けの濃いものや刺激の強いもの、油っぽいものは腸の負担となるので控えてください。
もし、熱中症の症状は回復したのに下痢が続いていたり、発熱や強い腹痛などがあるときは、自己判断せず、早めに医療機関を受診しましょう。
熱中症が原因で下痢になっている時は、市販の下痢止めを使用しても効果がないことが多々あります。また、一時的に下痢が改善したとしても、根本的にお腹の調子を整えることはできません。さらに、何らかのウイルスや細菌などの感染によって下痢が出ている場合には、下痢止めを使用するとかえって症状が悪化してしまうことも少なくありません。
熱中症が原因と思われる下痢の場合でも、何らかの感染症が潜んでいる可能性も否定できませんので、下痢が続くときは自己判断で市販薬を使用せず、必ず医師の診察を受けて適切な薬を処方してもらうようにしましょう。
熱中症は、下痢以外にもさまざまな症状を引き起こします。軽度でも放置すると重症化し、死に至ってしまう可能性もあります。日頃から水分補給や体調管理に気をつけて、熱中症が疑われる症状を感じたら無理をせずすぐに対処するようにしましょう。