子供の心筋症はなぜ起こる? 治療法はあるの?

2018/2/28

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

不整脈によって死亡リスクが高まる「心筋症」は、子供が発症する場合もあります。では、子供の心筋症は何が原因で起こるのでしょうか。また、治療は可能なのでしょうか。

心筋症はどんな病気?

心臓は身体の中に血液を送るポンプの役目を果たしています。収縮すると血液が排出されて、広がると体の中にあった血液が中に入ります。こういった動きをしているのは心臓の筋肉である心筋で、心筋は冠状動脈という血管から栄養を受けて機能する仕組みになっています。その冠状動脈に動脈硬化などが起こると心筋に必要な栄養を送れなくなりますが、心筋症ではそういった原因がなく心筋の働きが悪くなります。

心筋症には2種類のものがあります。肥大型と拡張型です。肥大型は心筋が肥大して心臓の内腔が広がっていない状態で、心臓の動きは正常に保たれているという点が特徴です。これに比べて拡張型の場合には内腔が広がってしまい、心筋が収縮した時と拡張した時の差がほとんどなくなってしまいます。これは心臓がほとんど働いていないという状態になり、体に必要な血液が送り出されていないということで、拡張型心筋症は心移植以外に完治させる方法がないとされています。

子供が心筋症になるのはどうして?

心筋症になる原因ははっきりとはわかっていませんが、遺伝が関係していると考えられています。実際、肥大型の約6割、拡張型では約3割が遺伝性です。そのため、心筋症を発症する可能性は親が心筋症であったかどうかが関係してきます。親が心筋症を発症している時には子供にも発症する危険性が高くなるため、遺伝子の検査を行っておくことが大切です。

反対に子供が心筋症を先に発症した時には、親も遺伝子検査をしておくと発症の危険性を知ることができます。遺伝子検査によって重症度や進行具合、突然死や不整脈が出る頻度などといった重要なことがわかるため、治療において遺伝子検査は重要な位置づけにあります。遺伝子でどのようなタイプなのかを詳しく知ることができれば、今後の症状の進行具合を予測することができ、必要となってくる治療法を早く始められることができます。

子供の心筋症に対する治療法はあるの?

子供が心筋症を起こす可能性は、18歳未満の場合で1年間に70〜100例ほどです。学校健診などで発見されることが多く、見かけ上は元気に見えてもこの病気を持っているケースがあります。心筋症は不整脈が起こると致死性心事故の確率が高くなるため、不整脈を起こさないように薬を服用したり、運動の制限を行うことが重要です。不整脈は身体の外から見える症状ではないので、元気に見える子供であっても不整脈が起こらないように事前に治療をしていく必要があります。

なお、肥大型心筋症は薬が効果的な場合が多く、もしも薬で治療できない時にはカテーテル治療や外科的手術を行います。一方の拡張型心筋症は薬物治療で効果を得にくいタイプ(心不全の進行を抑える薬が効くこともあります)なので、心移植を行う治療が中心になります。

ただし、子供の心移植は、心臓に障害を持たずに亡くなる子供が少ないことやドナーを提供できる施設が少ないこと、移植できる心臓のサイズに制限があることなどが難点となり、子供の心臓移植はなかなか行われないというのが現状です。

おわりに:心筋症の種類によって治療方針は異なる

心筋症には2つのタイプがあり、それぞれで有効な治療法が異なります。拡張型心筋症の場合は心移植が基本となるので、ドナーが見つからない間は辛い期間が続くかもしれませんが、専門の医療機関に通いつつ、普段から不整脈が起きないよう注意を払うことが大切です。

厚生労働省 の情報をもとに編集して作成 】

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