膿胸(のうきょう)の手術後に必要な処置「胸腔ドレナージ」について

2018/3/6

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

胸膜の中に膿が溜まってしまう「膿胸(のうきょう)」。この膿胸の治療では「胸腔ドレナージ」という処置が必要になりますが、具体的にどのようなことを行うのでしょうか。リスク等と併せて解説します。

膿胸(のうきょう)とは?

膿胸(のうきょう)とは、胸膜に炎症が起こることで胸膜の中に膿が出て、膿が溜まっている状態になることです。細菌性肺炎を起こした時や胸腔内手術をした後に起こることが多く、肺に起きた炎症や、手術による傷が元になって起こります。原因となる菌はブドウ球菌が多く、他に肺炎球菌やクレブシエラ、グラム陰性桿菌(かんきん)、嫌気性菌などがあります。

膿胸には急性と慢性があり、症状が続く期間が3カ月未満のものを急性膿胸、3カ月以上のものを慢性膿胸と呼んでいます。急性の場合には最初に悪寒があり高熱が出ることがあります。熱以外では咳が出たり胸の痛み、呼吸困難を訴えることもあります。膿胸が重症化してくると血圧が下がったり、敗血症を起こしてショック状態になることもあるので注意が必要です。

膿胸と診断するためには胸部X線(レントゲン)検査や胸腔穿刺をして胸水の状態をみます。さらに胸水の細菌検査や胸部のCT検査を行うこともあります。

どんな治療法があるの?

膿胸の治療法には代表的なものが3種類あります。抗菌薬の投与、胸腔ドレナージ、手術療法です。

抗菌薬は、膿胸の原因となっている細菌に効果のあるものを使用して、原因菌を死滅させます。ペニシリンやセフェム系抗菌薬などを点滴で投与しますが、同時に胸腔ドレナージも行って溜まっている胸水を体の外に出す処置が必要です。

急性で炎症がある時には、このように原因となっている炎症を改善させるために治療を行いますが、これで効果が得られない場合は膿胸が慢性化して治りづらい状態です。そのような時には手術療法が選択されることがあります。手術療法は胸膜肺切除術などで炎症を起こしている部位を取り除いて、肺が正常に広がるようにします。慢性化してしまうと治りにくくなるので、できるだけ早期に治療をすることが大切ですが、膿胸は糖尿病、肝疾患、うっ血性心不全、閉塞性肺疾患などを持っている人が起こしやすく、基礎疾患があると治りにくくなってしまいます。

胸腔ドレナージとは?

胸腔ドレナージというのは、胸腔に溜まった空気や分泌液などを体の外に出すための管で、通常は第5〜6肋間の前〜中腋下線に挿入されます。胸腔の中に不必要な空気や分泌液などが溜まっていると、肺をしっかりと膨らませることができません。そのためできるだけ不必要なものを体の外に出すことで、肺の状態が正常に戻るのを助けます。胸腔内は陰圧になっているため、ただチューブを体の中に入れるだけでは胸の空気が外に出てしまうので、チューブに圧をかけて体内の空気や分泌液を外に出します。

ただし、ドレナージが抜けてしまうと、そこから体の中に外の空気が入り込んで気胸を起こしてしまうリスクがあります。胸腔ドレナージをしている時には、そういった注意点を患者本人にも説明し、事故が起きないように十分に気をつけていく必要があります。また挿入部を清潔に保ち、挿入部から細菌感染を起こさないようにすることも重要です。

おわりに:胸腔ドレナージにはリスクも。膿胸の手術前にしっかり医師と話し合いを

胸腔に溜まった胸水を出すために行われるのが胸腔ドレナージですが、万が一事故が起きた際は気胸の発症リスクを伴うことがあります。膿胸の手術に臨むときは、事前に専門医から十分な説明を受けておきましょう。

厚生労働省 の情報をもとに編集して作成 】

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