記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/2/28
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
風邪や鼻炎をきっかけにして、「鼻づまり」が長引いてしまうケースは少なくありません。では、鼻づまりが長期化すると、具体的にどんな弊害が起こりうるのでしょうか?
鼻づまりは、ほとんどの人にとって経験があるかと思いますが、鼻の穴から頭部の中心にある鼻腔という空間にかけて、通気性が悪くなる症状を鼻づまりといいます。
鼻づまりには、風邪や鼻炎、蓄膿症(副鼻腔炎)などの影響で、鼻腔の粘膜が腫れて空間が狭くなるために起きる一時的な鼻づまりと、骨の変形など鼻腔の構造が変化することによる慢性的な鼻づまりとがあります。
一時的な鼻づまりは、まず、スギ花粉やハウスダストなどの影響によって、鼻腔粘膜の内部を走る毛細血管が拡張して、腫れを引き起こす「アレルギー性鼻炎(花粉症など)」が原因で起きます。アレルギー性鼻炎の鼻水はサラサラしているので、それ自体で鼻づまりが起きることはまずありません。
また、風邪のウイルスや蓄膿症で、「副鼻腔」と呼ばれる頭蓋骨内部の小さな空間に炎症が起きると、副鼻腔炎によって、粘性のある鼻水が出てきやすくなり、鼻水による鼻づまりが生じます。
一方で、鼻腔の変形による鼻づまりは、左右の鼻腔の間を隔てる壁が折れ曲がっている「鼻中隔弯曲症(びちゅうかくわんきょくしょう)」や、鼻腔の粘膜にできもの(ポリープ)ができている「鼻茸(はなたけ)」が主な原因となります。特に幼少期では、のどの上部が腫れ上がる「アデノイド肥大」によっても、鼻腔変形による鼻づまりが起こりえます。のどと鼻腔は繋がっているからです。
慢性的な鼻づまりによって、日常的に以下のような支障が出ることがあります。
・嗅覚の減退
鼻づまりは、嗅覚を弱らせ、においを感じにくくさせます。嗅覚が弱ると、味覚まで低下することがあります。
・口呼吸
口呼吸が多くなると、空中を漂う細菌やウイルスに感染しやすくなります。また、口内が乾きやすくなり、虫歯や歯周病を引き起こす原因にもなりかねません。
・いびき、不眠
寝ているときに、鼻づまりで鼻腔が狭くなったり、口が開いて舌がのどの奥へ沈むと、いびきをかきやすくなります。また、自分のいびきの音や睡眠時無呼吸症候群によって睡眠が浅くなり、日中に睡眠不足の症状が出やすくなります。
・集中力の低下、リラックス不足
鼻づまりによって、頭がボンヤリして集中力が途切れやすくなり、仕事での失敗や運転中の交通事故などを引き起こしかねません。そのほかにも、やる気が出なくなるなど、生活の質(QOL)を悪化させるおそれがあります。
鼻づまりの一般的な治療法を原因別にご紹介します。
・アレルギー性鼻炎・副鼻腔炎による肥厚性鼻炎
内服薬やステロイド点鼻薬などが効果を発揮します。症状が改善されない場合は、鼻腔の手術を施して根治させることがあります。
・鼻中隔弯曲症
この症状では投薬が効きませんので、手術によって治療しなければなりません。
・副鼻腔炎による鼻茸
抗菌薬などの投薬治療を1カ月以上続けて、もし効果が見られない場合は、鼻茸の切除手術を行います。
・アデノイド
幼児の成長によって、自ずと症状が治まるのが一般的ですが、あまり小さくならない場合や緊急を要する場合は、切除手術を行って治療します。
鼻づまりという症状は、花粉症や鼻風邪などと結びつけて、なにかと軽く捉えられがちですが、しばらく続くと物事に集中できなかったり、寝付きが悪くなったりとさまざまな弊害が起こりえます。鼻づまりの改善は、日常生活の質の改善にも繋がりますので、まずは耳鼻咽喉科を受診してみてください。