記事監修医師
東京都内大学病院眼科勤務医
渡辺 先生
2018/7/27
記事監修医師
東京都内大学病院眼科勤務医
渡辺 先生
まぶたが腫れる「ものもらい」は、「麦粒腫」と「霰粒腫」の2種類に分けられます。今回の記事ではそれぞれの症状の特徴と、発症してしまった際の対処法を解説していきます。
ものもらいは、まぶたが腫れて、目もとに痛みやかゆみを感じる疾患です。原因や症状によって、2種類に分かれています。
一つ目は麦粒腫(ばくりゅうしゅ)で、黄色ブドウ球菌への感染が原因です。黄色ブドウ球菌は、普段から体のどこかにいる常在菌の一種ですが、免疫力が低下したときにはこの菌に感染し、症状がでてしまいます。
二つ目は霰粒腫(さんりゅうしゅ)で、瞼の縁にあるマイボーム腺という皮脂腺が詰まることが原因です。皮脂腺が詰まることによって、中に分泌液が溜まり、しこりのようになってしまいます。
同じように「ものもらい」と呼ばれても、麦粒腫と霰粒腫では、それぞれ症状が異なります。
まず麦粒腫の場合、まぶたの外側やまつ毛の根元など、まぶたの一部が赤く腫れます。痛みやかゆみをともなうことが多いです。突起物のようなものができて、まばたきなどをするたびにゴロゴロとした違和感になることもあるでしょう。
霰粒腫の場合は、まぶたにやや硬いしこりができて、腫れたようになります。基本的に痛みはないものの、目の開けづらさなどを感じるでしょう。炎症が起こってしまうことも多々あり、その際には痛みや目やになど麦粒腫と似た症状が出ます。
麦粒腫と霰粒腫かで、それぞれ治療法は異なります。
まず麦粒腫の場合は、抗菌薬の点眼薬や内服薬が処方されることになりますが、特に薬を使用しなくても自然に消失していくケースも多いです。温湿布などで患部をあたためて、自然に膿が出ていくのを待つのも有効です。しかし、瞼の内側のマイボーム腺に麦粒腫ができてしまった場合、自然に膿が出ていくことがないため、外科的な処置が必要になることもあるでしょう。
一方、霰粒腫の場合、感染症ではないため、抗菌薬などは使用しません。こちらも2〜8週間で自然に消失するケースが多いですが、より治りを早くするには、温湿布をあてて血行の流れをよくすることが効果的です。自然に治らなかった場合には、コルチコステロイドを注射したり、切開によって内容物を排出するための処置をとったりすることになります。
ものもらいになってしまったときは、とにかく目を清潔に保ち、負担をかけないことが大切です。コンタクトレンズやアイメイクは避けましょう。自分で無理に膿を出そうとするのも控えてください。
また、眼帯をつけた方がいいと思っている方も多いかもしれませんが、菌が増殖しやすくなるため、基本的にはおすすめしません。なお、「ものもらい」という名称ではあるものの、人にうつるものではないので安心してください。
そして、日ごろからものもらいにならないよう気を付けることも、もちろん大切です。「汚れた手で目をこすらない」「清潔な状態のコンタクトを使うよう、ちゃんと使用方法を守る」ことなどを、心がけましょう。免疫力が下がって細菌に負けないよう、しっかり食事や休息をとることも大切です。
ものもらいには、細菌への感染が原因で発症する麦粒腫と、皮脂腺の詰まりが原因で発症する霰粒腫の2種類があります。麦粒腫には抗菌薬が処方されることもありますが、基本的にはどちらも自然に治癒することが多いです。発症した後も、そして発症する前の予防としても、目を清潔に保ち、食事や休息で免疫力を低下させない生活を心がけましょう。