記事監修医師
日本赤十字社医療センター、歯科・口腔外科
川俣 綾 先生
2018/2/16
記事監修医師
日本赤十字社医療センター、歯科・口腔外科
川俣 綾 先生
二次カリエスは、虫歯の治療経験のある大人によく発生するものとして知られています。こちらの記事では、二次カリエスとは何か、二次カリエスが生じる原因や予防法などについて解説します。
二次カリエスは「二次齲歯(うし)」とも呼ばれるもので、過去に虫歯になって治療した歯が再び虫歯になることです。虫歯を治療するとき、通常は虫歯部分を削ってレジンを詰めたり金属をかぶせたりします。この詰め物やかぶせ物と歯の間に、虫歯菌やプラーク(歯垢)が入り込んでしまうと、二次カリエスが発生します。
治療済みの歯は一度削られているため、治療を受けていない歯より虫歯が進行しやすいという特徴があります。神経に達していたり、詰め物やかぶせ物の裏側で病巣が広範囲に及んでいたりするため深刻化しやすく、以前の治療で神経が抜かれている場合は痛みを感じないため、気付いた時には抜歯を余儀なくされることも珍しくありません。
二次カリエスの原因として、プラークがしっかりと取り除かれていないことや詰め物やかぶせ物自体の劣化、治療の精度の低さなどが考えられます。治療から5~10年経過すると、詰め物やかぶせ物が古くなってずれやすくなるため、すき間や段差ができて虫歯菌やプラークが侵入しやすくなります。さらに、歯磨きが上手にできていないとプラークが蓄積するため、虫歯のリスクがさらに高くなります。
以下は、二次カリエスの実際の発症例です。
・プラスチック(レジン)の劣化によるもの
以前詰めたプラスチックが劣化してずれたところに虫歯が広がります。進行が進んでいなければ、削ってプラスチックを詰め直します。
・金属の詰め物(銀歯)の隙間から侵蝕されていくもの
虫歯が原因で、銀歯が取れてしまうことがあります。銀歯を付けるためのセメントの下で、虫歯が進行していることも少なくありません。
二次カリエスの予防のために、以下の点に気を付けましょう。
歯に付着したプラークを取り除けば、虫歯は発生しにくくなります。歯間はもちろん、治療個所ともとの歯の間にはプラークが溜まりやすいので、適切なブラッシングやデンタルフロスの使用などで丁寧に除去しましょう。
虫歯の保険治療で一般的に使われている金属のかぶせ物やプラスチックには歯垢が付きやすいため、歯垢が付きにくく、かつ、劣化もしにくいセラミックを使用するのもひとつの手段です。
フッ素(フッ化物)は、歯を強くしたり、歯の再石灰化を促したりと虫歯予防を助けてくれます。歯磨きの際は、フッ素入りの歯磨き剤を使用することが勧められています。
虫歯予防や虫歯の悪化防止のためには、定期的に歯科医院で歯の状態をチェックしてもらうことも大切です。
二次カリエスでは、虫歯になっていること自体に気付かないことが多く、深刻な状態で見つかることもあるため、普段から歯の状態に気を配ることが理想的です。二次カリエスの発生を防ぐために、丁寧な歯磨きとともに、定期的な歯科検診を心がけましょう。