聴神経腫瘍の手術ってどうやってするの?リスクはある?

2018/3/6 記事改定日: 2019/3/22
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

聴神経腫瘍は、聴力を伝える神経の周囲を覆っているシュワン細胞に生じる腫瘍のことです。良性の腫瘍で、進行が遅い場合が多いのですが、腫瘍が大きくなると聴力に影響が及んだ場合は手術が行われることもあります。
この記事では、聴神経腫瘍の治療法や手術法について解説します。

聴神経腫瘍はどんな病気?

聴神経腫瘍は脳腫瘍のひとつで、聴力を伝える神経の周囲を覆っているシュワン細胞から発生する腫瘍のことです。良性の腫瘍である場合がほとんどですが、中には成長が早いものもあります。

腫瘍が大きくなると、聴力の低下や耳鳴りといった症状があらわれます。
徐々に音が聞こえにくくなるため最初は気づかないことも多く、電話の声が聞こえづらくなったのがきっかけで分かることがあります。
また、突発性難聴(突然音が聞こえなくなる)から見つかる場合もあります。

聴神経腫瘍の治療方針について

小さい腫瘍の場合、経過観察、手術、放射線治療のいずれかを行うことが考えられます。聴神経腫瘍は良性で、成長速度も遅いことが多いので、症状が出ていなければ経過観察します。

腫瘍が小さいほど顔面麻痺の可能性は低くなりますが、聴力に障害を受ける可能性があるので、局所放射線照射(ガンマナイフ治療)を行うことがあります。ガンマナイフ治療の場合、顔面神経麻痺や聴力障害があらわれる可能性は低いです。

中程度の腫瘍の場合、手術もしくはガンマナイフ治療が検討されますが、それぞれ一長一短があります。完治を目指すなら手術を行うことが理想ですが、聴力障害や顔面神経麻痺が一時的、もしくは永遠に残る可能性があります。

一方、ガンマナイフ治療の場合は、治療が数時間で終わるだけでなく、聴力障害や顔面神経麻痺があらわれる可能性が手術より低くなります。
ただし、ガンマナイフ照射から半年後ぐらいに腫瘍がふたたび大きくなって症状が再発したり、悪化したりすることがあります。どちらを選ぶかは、患者さんの年齢や合併症の有無で判断します。

大きな腫瘍の場合、脳幹が圧迫されると、嚥下障害、平衡感覚障害、聴力障害や顔面神経麻痺が出現し、さらに重度になると動けなくなることもあり、場合によっては命に関わることもあるので基本的には手術を行います。

聴神経腫瘍の手術の種類にはどんなものがある?

後頭蓋窩法は術野が広くなるので下位脳神経から三叉神経まで見やすい反面、小脳のトラブルが起こる可能性があります。
経迷路法・後迷路法は、小脳のトラブルが起こらず、経迷路法の場合は顔面神経の末梢にたどり着きやすい反面、術野が狭く、手術に時間がかかってしまう可能性があります。

そして、中頭蓋窩法は三半規管を傷つけることなく内耳道の末梢にたどり着けるため、聴力保存が可能ですが、術野が狭く、側頭葉を圧迫する必要があります。

聴神経腫瘍の手術に合併症のリスクはある?

聴神経腫瘍は顔面神経や聴神経などの重要な脳神経を巻き込んで生育することがあるため、手術によってこれらの神経にダメージを与えて神経麻痺を引き起こすことがあります。

手術は手術用の顕微鏡を用いて慎重に行われますが、手術中には顔面神経や聴神経にダメージを与えているかを判断するために神経の反応をモニタリングしながら行われるのが一般的です。
しかし、腫瘍が神経に癒着している場合などは神経へのダメージを完全に避けることができず、顔面神経麻痺や聴力障害などを引き起こす可能性もあります。

また、聴神経の近くには三叉神経や舌咽神経、迷走神経なども走行するためこれらの神経にダメージを与えて種々の神経障害を残すことも少なくありません。
その他にも、術後感染による髄膜炎や髄液が手術痕から漏れる髄液漏などを生じることもあります。

このように、聴神経腫瘍の手術では生涯にわたる神経障害や重篤な感染症などの合併症を引き起こすことがありますので、術前に主治医から手術のリスクや術後注意すべきことなどをしっかり話し合うようにしましょう。

おわりに:聴神経腫瘍の手術法については事前に主治医とよく相談しよう

聴神経腫瘍の手術法として、後頭蓋窩法、経迷路法・後迷路法、中頭蓋窩法がありますが、それぞれの方法にはメリット・デメリットがあります。主治医から手術法や手術の流れ、メリットやデメリットについて説明してもらうとともに、疑問や不安があれば尋ねることも大切です。

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