脳卒中の原因と発症のメカニズムとは?

2018/3/15 記事改定日: 2018/6/12
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

日本人の死因の上位に来る「脳卒中」は、「高血圧」が主な原因と言われています。この記事では、脳卒中の原因と、発症のメカニズム、予防方法について説明しています。
脳卒中は高齢者だけでなく若い人にも発症の可能性があるので、この機会に予防対策をとりましょう。

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脳卒中の原因とは?どんなメカニズムで発症するの?

脳卒中とは、脳の血管に異常が生じることで、脳にもダメージが加わる症状の総称です。大きく分けて、脳の血管の内部が詰まり、血液が行き届かなくなる「脳梗塞」と、血管の壁が破れて血液が外へ漏れ出る「脳出血」の2種類があります。

脳梗塞は、おもに動脈硬化によって起こります。コレステロールが血管の内壁にこびりついて硬くなり、血流が悪くなると血栓ができます。この血栓が脳の毛細血管を詰まらせてしまうことで、脳梗塞は起こります。その他心房細動などによって生じた血栓によって生じる脳梗塞もあります。

脳出血も、動脈硬化によって血管の柔軟性がなくなり、もろくなっていくことで発症しやすくなる点では脳梗塞と共通していますが、高血圧によって血管の壁にかかる圧力が高まることでも、発症のリスクが上がります。

脳卒中発症と高血圧の関連性 ― 血圧が上がるとリスクが高まるって本当?

血圧の高い状態が続くと、脳卒中のリスクを高めます。
運動した後などで一時的に高血圧になるのは正常な範囲なのですが、慢性的な高血圧が長年に亘って続くと、血管へのダメージが蓄積され、血栓で血管が詰まれば脳梗塞、血管が破れれば脳出血を発症してしまいます。

比較的若年の30~40代には、高血圧の状態を放置している人が多く見られますが、特に脳出血は前触れもなく突然起きますし、脳梗塞は重い後遺症が残りやすいので、高血圧の方は若くても注意が必要です。

心臓の病気のリスクも!

また、高血圧は脳卒中のほか、心筋梗塞、狭心症などの心臓に疾患を抱えるリスクも高めます。特に男性は高血圧による影響を受けやすく、収縮期血圧(最高血圧)が10mmHg上がると、心疾患リスクが約15%高まるといわれます。

慢性腎臓病のリスクについて

高血圧は慢性腎臓病のリスクも高めます。慢性腎臓病によって、さらに血圧が上昇しやすくなりますし、その状態で脳卒中や心筋梗塞を発症すると、死亡率も引き上がるため、さまざまな悪循環を呼び起こしてしまうのです。

早朝高血圧と脳卒中の発症リスク

脳卒中の発症リスクが特に高い高血圧のタイプに、「早朝高血圧」があります。通常、人間の血圧は睡眠中の深夜に最も低くなり、早朝から少しずつ上昇し始めるのですが、早朝高血圧の人は早朝に急激に血圧が上昇します。

このタイプの高血圧は、すでに軽度の脳梗塞を起こしている可能性もあり、脳卒中を起こすリスクが高いので注意が必要です。なお、早朝高血圧は高齢者の方に多い傾向があります。

ストレスが脳卒中の原因になる理由とは!?

最近の研究では、ストレスの高い仕事に就いている人は、脳卒中の発症リスクが50%上昇することが分かっており、ストレスは脳卒中のリスクを高めることが知られています。
ストレスを感じると2つの自律神経の内、交感神経が強く作用します。その結果、血管の収縮が生じ、血圧が上昇するのです。もちろん、交感神経はストレスを感じたときに強く作用しますので、常に血圧が上昇するわけではありませんが、血圧の変動が大きくなると血管の内皮にダメージを与えて動脈硬化の原因になります。さらに、突発的に血圧が上昇することで出血のリスクも高まるのです。
また、ストレスは過食や深酒、喫煙などの脳卒中のリスクを高める生活習慣に導きやすく、これもストレスから脳卒中を発症する原因となります。

脳卒中を予防するための食生活 ― 食事のときの注意点とは!?

高血圧の人はほとんどの場合、塩分の摂りすぎでミネラル不足の状態にあります。一般的に、塩分は1日6g以下の摂取が推奨されています。まずは、醤油やソースなどの調味料を付けすぎず、徐々に薄味に慣れておくようにしましょう。

また、血圧改善に有効なナトリウム・マグネシウム・カルシウムなど、ミネラル類の摂取を欠かさないよう、野菜や果物、海藻や豆類、小魚などを積極的に選んで食べるようにしましょう。

脳卒中予防に役立つおすすめレシピ

脳卒中を予防するには、塩分を控え目かつミネラル類を多く含んだメニューがおすすめです。
ここでは、脳卒中対策におすすめなレシピを2つご紹介します。

① 枝豆と豆腐の冷製スープ

1パックの枝豆は茹でて皮をむき、絹豆腐1丁を水切りしておきます。
固形コンソメをお湯で溶き、牛乳2カップと枝豆、豆腐を混ぜ合わせてミキサーやフードプロセッサーにかけて、とろとろになったら完成です。
これからの暑い季節にもおすすめの汁物メニューです。

② キノコのナムル

キノコを焼いてナムルに投入することで、キノコ自体のうまみ成分が際立ち、余分な塩分を加えなくてもしっかりとした味を出すことができます。
適量のほうれん草は茹でて一口大にカットします。シイタケやえのき、えりんぎなどお好みのキノコはグリルで素焼きにして十分火が通ったら一口大に切り分けます。ほうれん草とキノコを加え、しょう油、ごま油、酢で味付けしたら完成です。

おわりに:脳卒中は生活習慣病、とくに高血圧が大きな原因。若くてもなることがあるので、早めの対策を

スナック菓子やインスタント食品などを摂りすぎたり、味の濃いものや揚げ物ばかり食べていると、高血圧などの生活習慣病になりやすくなり、脳卒中のリスクが高まります。とくに高血圧は、心臓や脳に深刻なダメージを及ぼしかねません。できるだけ若いうちから食事や運動などの生活習慣を改善していきましょう。

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