偽性副甲状腺機能低下症の原因とは?どうやって治療するの?

2018/2/14 記事改定日: 2019/6/10
記事改定回数:1回

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

低身長や生殖機能の異常などをもたらす病気に、「偽性副甲状腺機能低下症」があります。子供の発症率が高いとされますが、いったいどんな病気なのでしょうか。症状や治療法などを解説します。

偽性副甲状腺機能低下症ってどんな病気?

首の中にある甲状腺の裏側には、血液中のカルシウム濃度を適度に調整する「副甲状腺」が存在します。血中カルシウム濃度が下がると、この副甲状腺から「副甲状腺ホルモン」が分泌され、それが骨や腎臓に作用することで、血中カルシウム濃度が上昇し、適正な値に近づいていきます。

しかし、副甲状腺に何らかの異常が発生し、副甲状腺ホルモンが出にくくなると、「(真性)副甲状腺機能低下症」を発症します。血中のカルシウム不足により筋肉がけいれんしたり、顔が引きつったり、情緒が不安定になってイライラするなどの精神症状を伴うこともあります。

一方で、副甲状腺ホルモンは正常に分泌されているものの、ホルモンを受け取る骨や腎臓の側(受容体)に異常があるために本来の効能が発揮されず、結果的に血中カルシウム不足の症状が生じることもあります。この状態を「偽性副甲状腺機能低下症」と呼びます。

原因

偽性副甲状腺機能低下症は、遺伝子の先天的な異常が原因で起こるとされ、子供に多くみられる病気です。特にⅠa型というタイプの患者の体内では、副甲状腺ホルモン受容体や細胞内の神経伝達をつかさどる「Gsαタンパク」が、遺伝的原因でほとんど作用していないことが明らかになっています。

偽性副甲状腺機能低下症のおもな症状は?

偽性副甲状腺機能低下症には次のように様々な症状が現れます。

  • 口の周りや手足のしびれ
  • 手指の硬直(テタニー)
  • けいれん
  • 意識消失
  • 不整脈
  • 白内障
  • 抑うつ気分
  • 低身長
  • 肥満
  • 知的障害

偽性副甲状腺機能低下症では血中のカルシウム濃度が低下します。カルシウムは神経の伝達や筋肉の収縮を調整する働きを担っているため、カルシウムが不足することで神経や筋肉が過度に刺激するためにけいれんやしびれなどが引き起こされるのです。

また、その他にも骨の生成に異常が生じたり、全身の新陳代謝を促す甲状腺ホルモンの分泌が低下することもあるため上記のような症状が引き起こされることも少なくありません。

治療法と日常生活での注意点は?

偽性副甲状腺機能低下症の治療は、まず低カルシウム血症の改善が第一になります。カルシウはもともと人体への吸収率が低いのですが、ビタミンDを多く摂ると吸収率が高まることが知られています。

活性型ビタミンD製剤には、偽性副甲状腺機能低下症の症状を軽くする効果があり、おもに内服薬などで処方します。

この病気にかかっていたとしても、ビタミンDを充分に摂取できていれば、自覚症状も軽くなり、やがて通常の生活を送れるようになっていきますので、日常生活では医師によって決められた分量のビタミンD製剤の服薬を欠かさず、自己判断で量を減らしたり、服薬をやめたりしないようにしましょう。

症状が重いときにはカルシウム製剤の注射や内服薬なども併せて処方されます。もし、骨や指の長さに異常があり、身体の外観や日常生活などに支障が出ている場合には、整形外科・形成外科による手術も検討する必要があります。

おわりに:処方された薬を継続的に服用することが大切

偽性副甲状腺機能低下症は、遺伝的な要素が原因であり、根治は困難な病気です。しかし、ビタミンD製剤などの正しい服用をすれば、ハンディを最小限に抑えた日常生活を送ることができます。また、指の長さや体型など、外貌にも影響が現れる場合がありますので、家族や周囲の理解や協力も大切です。

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