記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/5/18
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
糖尿病や尿路結石などの持病のある方は、発症リスクの高い「腎盂腎炎」。腎盂腎炎を治すためには、専門治療を受けることはもちろん、普段の食生活の改善も重要になります。具体的な食事のポイントについて、以降でお伝えしていきます。
腎盂腎炎とは、腎盂内(腎臓内の袋の部位。腎臓から出た尿を膀胱へ送る)で細菌が繁殖し、腎臓にまで炎症が起こった状態を言います。背中の痛みや腰の痛み、38℃以上の発熱、吐き気、倦怠感などが主な症状です。
腎盂腎炎は、尿道の出口から細菌が入り込み、腎盂にまで侵入したことで発症します。通常、細菌は尿として排出され、免疫力によって殺菌されるため、腎盂腎炎を発症することはありません。しかし、糖尿病やがんなどの免疫力が低下する病気や、尿管結石などの尿の流れが悪化する病気があると、腎盂腎炎の発症や再発リスクが上がります。
腎盂腎炎は、抗菌薬の投与による治療が一般的です。軽度であれば、1週間程度の内服薬の服用によって治すことができます。ただし、高熱が持続するなど重症の場合は、入院と点滴による抗菌薬投与といった処置が必要です。また、尿路結石などの尿路閉塞がみられる場合には、カテーテルなどで閉塞状態を治し、体外へ膿を出す必要があります。
腎盂腎炎と診断されたら、食事面では以下のことを心がけることで治療が少し早くなるかもしれません(はっきりしたエビデンスはありません)。
未精白穀物とは、玄米や全粒粉のパン、蕎麦などです。未精白穀物は、亜鉛やビタミンB群といった腎臓の機能をサポートする栄養素をたくさん含んでいます。
腸内環境の悪化は、腎臓への負担につながります。野菜や海藻などから食物繊維を積極的に摂取し、腸内の善玉菌を増やしましょう。
豆類や野菜などに多く含まれるカリウムには、利尿効果があると言われています。カリウムの摂取制限がない方は、多めに摂取するといいでしょう。ただし腎機能障害がある場合はカリウムの取りすぎには十分な注意が必要です。
塩分のとりすぎは、腎臓への負担となります。
タンパク質をとりすぎると、分解した際に窒素化合物が多く排出されるようになり、腎臓に負担がかかるようになります。摂取する際は、なるべく植物性食品からとるようにしてください。
腎盂腎炎は、その原因疾患を治療しない限り再発する可能性があります。専門の医療機関で治療を進めつつ、腎臓の負担を減らすよう、食物繊維などを積極的にとるといった食事内容の工夫に努めましょう。