寝酒は不眠症の解消にはならない?! お酒と不眠の関係性とは?

2018/3/8 記事改定日: 2019/1/29
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

眠れないときに寝酒をする人もいるでしょうが、実は寝る前にお酒を飲むと不眠症が悪化するおそれがあります。
この記事では、お酒と不眠の関係性について詳しく説明していきます。

不眠症はどんな病気?

不眠症とは、1か月以上睡眠不足の状態が持続しており、その睡眠不足による影響で日中の活動が行えなくなっている状態のことです。眠れない日が長期間続くことで体への異変をきたし、身体的な問題だけでなく、精神的な影響が出てくることもあります。

不眠症には4つのタイプがあります。1つめは眠りにつくことが難しくなる「入眠障害」、2つめが夜中に何度も目が覚める「中途覚醒」、3つめが夜間はぐっすり眠れても朝早い時間に目が覚めてしまい、その後眠れなくなる「早朝覚醒」、4つめは熟眠感が得られない「熟眠障害」です。不眠症の種類によって、治療方法は多少異なることがあります。

お酒が不眠症の原因になるって本当?

過度な飲酒は、不眠症の原因になることがあります。
睡眠時間は脳で産生される「アデノシン」という物質の働きによって調整されています。アデノシンは、脳の活性化を抑制する作用があり、分泌量が増えると睡眠が促されます。

アルコールはアデノシンの産生量を増やす働きがあることが分かっており、速やかな入眠が促されます。しかし、体内でアルコールが分解されてしまうと、アデノシンの産生量が急激に低下することで夜中や早朝などに目が覚め、眠れなくなるという症状が現れるのです。

また、過度なアルコールは睡眠時無呼吸症候群や嘔気など睡眠障害を引き起こす身体的な症状が現れることが多く、これらが不眠につながっていることも少なくありません。

お酒や薬に頼りすぎるのはNG

眠れない時に多くの人が頼ってしまうものがアルコールです。
ただ、上記で説明したように、アルコールを飲むと眠気は誘発されますが、熟睡はしにくくなってしまうため、かえって逆効果になってしまうこともあるのです。そればかりか、寝酒の度が行き過ぎてしまい深酒をする習慣ができてしまうと、体を壊してしまうことにもなりかねません。

睡眠導入剤も短期的に正しく使うぶんには有効性が期待できますが、長い期間使い続けてしまうと効きが悪くなってしまって薬を増やさなければ眠れないようになってしまったり、体に悪影響が出ることもあります。

薬を使用するときにはそういった副作用が強く出過ぎないように、自分に合った薬を適量使うことが重要です。
薬は必ず医師に処方してもらい、医師と相談しながら薬以外の対策もきちんと取り組むようにしましょう。

おわりに:不眠で寝酒はNG。眠れないときは病院に相談しよう

深酒は臓器へのダメージとなったり、また睡眠自体の質を低下させる要因になったりします。
不眠症でお悩みの方は、寝酒に頼るのではなく、専門の医療機関で適切な治療を受けるようにしましょう。

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