記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/3/9
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
男性器などの陰部のかゆみでお悩みではありませんか?今回の記事では、男性の陰部がかゆいときに考えられる原因と対処法をお伝えしていきます。
男性の陰部にかゆみの症状があるとき、大まかな原因としては「性感染症」「皮膚疾患」の2つの場合が考えられます。
かゆみのある性感染症としては「性器ヘルペス・尖圭コンジローマ・梅毒」などがあり、どれも性行為により感染する可能性があります。性器ヘルペスでは、陰部に水膨れができ痛みやかゆみを伴います。尖圭コンジローマは、陰部に小さなできものが発生し、かゆみが生じ、梅毒では鼠径部が腫れ、かゆみなどの症状が出ます。
皮膚疾患の場合には「毛ジラミ症・疥癬・亀頭包皮炎・皮膚カンジダ症・陰部湿疹」が原因として考えられます。毛ジラミ症・疥癬は、陰毛や陰嚢に虫体や卵がついていることでかゆみが生じます。亀頭包皮炎・皮膚カンジダ症・陰部湿疹では、陰茎や陰部周辺が赤くなり、かゆみが生じることが多いです。
亀頭包皮炎は、粘膜や皮膚の表面に細菌が感染することで発症する疾患です。亀頭やペニスの包皮に炎症が発生し、その結果「かゆみ・痛み・臭い・赤み」といった症状が現れます。症状が進行し細菌が尿道へと侵入、「尿道炎」が引き起こされる場合もあります。
亀頭包皮炎の感染原因となるのは、原因菌をもつパートナーとの「性交渉」、ペニスが「不衛生」な状態であるために原因菌が繁殖した場合です。また、一般的な石鹸やボディーソープでは原因菌が洗い流せないことがあり、清潔に保とうと洗いすぎたことで、逆に繁殖しやすい環境を自ら作ってしまうことが原因の場合もあります。
亀頭包皮炎の治療は感染した原因菌の違いにより、その方法も異なります。「細菌性」の亀頭包皮炎の場合には、抗菌薬の飲み薬・塗り薬を使用します。「カンジダ性」の亀頭包皮炎では、抗真菌剤の塗り薬が使用されます。
毛じらみとは、性交渉などにより陰毛にシラミの一種「ケジラミ」が寄生することで感染する疾患です。陰毛だけでなく、腋毛、胸毛、すね毛、ときにはまゆ毛にまで感染し、非常に激しいかゆみが生じます。そのかゆみゆえに皮膚をつよく掻きすぎてしまい、湿疹や細菌性感染症を併発する場合があります。
毛じらみの感染原因は、おもに「性交渉」による陰毛同士の接触です。タオルや寝具などを介した間接的な感染の可能性もありますが、毛じらみは陰毛から離れては長く生息できないため、主たる感染原因は「性交渉」となります。
治療方法として最も効果的なのは、感染部の毛をすべて剃毛してしまうことです。ですが感染部位によっては難しい場合もあり、その場合には主に毛じらみを駆除する効果のあるシャンプー・パウダーを数週間使用し、治療を行います。毛じらみが完全にいなくなり、かゆみがなくなれば治療完了です。
陰部のかゆみが生じる疾患の多くは、日常生活の中で生じています。そのため日常生活での心がけが予防のためにも大事となります。
まず大事なのが「陰部周辺を清潔に保つこと」です。毎日下着を替える、お風呂に入ることはもちろん、スポーツなどでたっぷり汗をかいたときには下着や服を早めに着替える、などを日頃から意識しましょう。
また「性行為ではコンドームを必ず使用する」ことが大切です。性感染症の多くは、正しくコンドームを使用していなかったことが感染原因となっています。すべての性感染症を防げるわけではありませんが、最も予防効果の高い方法です。
なお、陰部にかゆみが数日間続くような場合には、病院で診察を受けましょう。デリケートな悩みであるため、通院をためらってしまいがちですが、時間が経つほど症状は進行してしまいます。できるだけ早く診察を受けることが大切です。
性感染症や皮膚疾患など、男性の陰部のかゆみの原因にはさまざまなものがあります。ただ、日常生活でのちょっとした工夫で予防できるものも多いので、日頃から陰部を清潔に保つ、コンドームを必ず装着するといったことを心がけましょう。