記事監修医師
前田 裕斗 先生
2018/2/23 記事改定日: 2018/4/4
記事改定回数:1回
記事監修医師
前田 裕斗 先生
「夜も眠れないほど陰部がかゆい」など不快症状を伴うカンジダ。このカンジダはどんな薬で治療していけばいいのでしょうか?また、妊娠中や男の人でもカンジダを発症することはあるのでしょうか?カンジダに関するさまざまな疑問にお答えしていきます。
腟のかゆみやおりものの変化が見られる場合は、腟カンジダの可能性が高いです。かゆみは眠れないほど強く、おりものは酒かすのように白くポロポロしており、量が多いのが特徴です。
また、腟カンジダは進行すると外陰部の赤みやむくみ、尿道まで炎症が起きた場合は排尿痛、腟での炎症がひどくなると性交痛を引き起こします。痛みはヒリヒリと焼けるような熱感をともなうこともあります。症状が軽いと、デリケートゾーンの違和感程度でおさまることも多いです。
注意が必要なケースとして、強いかゆみやおりものの症状が現れない場合があります。かゆみやおりものの変化で異常が分かると気付きやすいですが、感染しているのに症状が出にくく、おりものもいつもと同じでかゆみもなく痛みもないという無症状の場合があります。こういった場合は陰部の皮膚の変化や違和感のみがサインとなります。
カンジダは、皮膚や粘膜の常在菌である「カンジダ菌」の異常増殖によって発症します。そのため、治療ではカンジダ菌を殺す抗真菌薬を使うのが一般的です(女性の場合は、通院して腟洗浄の治療をする場合もあります)。
女性の腟カンジダを治療する抗真菌薬には腟内に挿入する腟錠タイプと、外陰部に塗るタイプがあり、市販薬でも購入可能です(市販薬を使用していいのは過去に病院でカンジダの治療を受けたことがある人だけです。初発の場合は必ず病院で治療を受けてください)。具体的には以下の薬があります。
腟錠タイプの薬で、カンジダ菌を殺菌する有効成分オキシコナゾールが配合されています。小型で挿入しやすいです。
腟錠タイプの薬で、有効成分イソコナゾールが配合されています。腟内の菌を殺菌して、カンジダによるおりものやかゆみを抑えます。
腟坐剤タイプで、有効成分ミコナゾール硝酸塩が配合されています。外陰部の症状がない、あるいは腟口部のみに病変がある場合に有効です。外陰部にまで広がっている場合は、塗り薬のメディトリートクリームと併用する必要があります。
先述のメディトリートシリーズの、クリームタイプの塗り薬です。腟口部より広範囲にかゆみや赤みが見られる場合、坐剤と併用することで効果を発揮します。
外陰部のかゆみや赤みなどがある場合、先述の腟錠と併用することでより効果を発揮します。
カンジダの治療には少なくとも10日間はかかり、また症状が完全によくなってから治療を終了しないと、カンジダ菌が残っているため、免疫機能が低下した場合や妊娠時などに再発してしまうことがあります。
カンジダ感染症は腟カンジダが有名ですが、男性も生殖器にカンジダを発症することがあります。男のカンジダは、亀頭の周囲や包皮の周囲にカンジダ菌が繁殖することで起こるものです。女性と同様に、強いかゆみが起こるだけでなく、白い膜状の汚れが溜まるようになります。
男のカンジダは症状が悪化すると、水ぶくれが生じたり、尿道炎を起こして排尿痛を引き起こしたりする恐れがあります。
夏など暑い時期に下着が蒸れたり、かぶれたりしたときのアレルギー反応でも陰部のかゆみは起こりますが、先述のとおり、カンジダのかゆみはカンジダ菌の増殖によるものです。
カンジダ属は菌がいるだけでは症状を起こすことはありませんが、免疫機能が低下した場合に異常増殖し、腟炎を起こすようになります。具体的には、抗菌薬の使用や妊娠、出産による常在細菌叢(じょうざいさいきんそう)の変化が原因で発症します。また、ストレスや疲労が溜まっている人、糖尿病にかかっている人など免疫力が低下している人もカンジダ菌が増殖しやすく、カンジダを発症しやすいです。
カンジダかどうかは、おりものや外陰部の皮膚をこすり、そこにカンジダ菌がいるかどうか顕微鏡で、もしくは培養することで確認し、症状がある場合に診断されます。
カンジダ菌は、性行為や家庭内でのタオルの使い回しなどでも感染します。このため性交渉では避妊具を必ず使用し、タオルを使い回さないことが大切です。
また先述の通り、カンジダは本来常在しているだけでは症状を起こさない菌種ですが、保菌している場合には免疫機能や皮膚のバリアをよい環境にしておくことが大切です。よって、食事や睡眠は規則正しくとるよう心がけましょう。そして、糖尿病やその他免疫機能が低下するようないわゆる生活習慣病にかからないようにすることも大切です。
そのほかに、外陰部は不潔になりやすい部分なので、下着をまめに交換したり、通気性のよいものに変えたりといった工夫も効果があります。
性行為だけでなく、タオルの使い回しによっても発症することのあるカンジダ。一度発症すると完治までに時間がかかり、女性は妊娠中も再発するリスクもあるので、日頃から外陰部を清潔に保ったり、免疫力をつけておいたりすることが重要です。また、男の人もカンジダを発症することはあるので、陰部のかゆみや分泌物などの症状があれば、早めに泌尿器科を受診しましょう。