適応障害にはどのような治療法が有効なの?

2018/3/9

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

過度のストレスにより精神面や身体面に影響が出てしまい、社会生活に支障をきたしてしまう「適応障害」。放置しているとうつに発展する可能性もある心の病気ですが、この適応障害に対しては、どんな治療法が有効なのでしょうか?

適応障害とは?

適応障害とは、ある特定の出来事や状況がとても辛く感じてしまい、それに伴い気分や行動面に症状が現れることをいいます。世界保健機構の診断ガイドライン(ICD-10)によると「ストレスにより引き起こされる情緒面や行動面の症状で、社会的機能が著しく障害されている状態」と定義されます。ヨーロッパでは全人口の1%程度といわれており、長期的に強いストレスにさらされることが適応障害の原因となります。

適応障害と診断される場合には以下の4つが基準となります。

1. はっきりとした心理社会的ストレスに対する反応で、3ヶ月以内に発症
2. ストレスに対する正常で予測されるものよりも過剰な症状
3. 社会的または職業(学業)上の機能の障害
4. ストレスが解消されれば6ヶ月以上は持続しない
5. 他の原因となる精神障害がない

症状は主に出ているものによってさまざまなタイプに分類されます。

不安気分を伴う適応障害では不安、神経過敏、心配、いらいらなどの症状が優勢となり、抑うつ気分を伴う適応障害では抑うつ気分、涙もろさ、希望のなさなどの症状が優勢となります。

行為の障害を伴う適応障害では問題行動、人の権利の障害、社会規範や規則に対する違反行為などが優勢となり、喧嘩や無謀運転などがこれにあたります。

情動と行為の混合した障害を伴う適応障害では、前述した不安や抑うつの症状と行為の障害が両方みられる場合を指します。

身体的愁訴を伴う適応障害では疲労感、頭痛、腰痛、不眠などの身体症状を訴えることが多いです。また、引きこもりを伴う適応障害では社会的ひきこもりが症状として優位にみられます。

適応障害の治療法①:薬物療法

適応障害の治療の第一選択は原因となっているストレスの除去です。また、ストレスは個人によってそれぞれ耐性が異なるため、ストレスの原因を除去しながら本人のストレスに対する適応力を高めていくのも治療の1つとなります。

ただし、適応障害の中でも特に行動や情緒に関する症状には、薬物療法を行うことがあります。使われる薬物は主に以下の3種類があります。

抗不安薬

不安や緊張の緩和に使われるお薬です。日本では主にベンゾジアゼピン系の薬剤が使用されます。副作用は強い眠気とふらつきです。また依存性があることが知られています。

SSRI

抗うつ薬の一種です。自己判断で薬をやめてしまうとめまいや頭痛、不安感といった副作用が出現します。

三環系抗うつ薬

SSRIや抗不安剤を使用しても効果のない場合に使用されます。副作用に便秘、眠気、口渇、起立性低血圧などがあります。

他は症状に併せて抗てんかん薬やβ遮断薬が使用されます。薬物治療は症状を緩和する対症療法目的で使用されることが多くなります。

適応障害の治療法②:精神療法

適応障害の治療の主軸は、カウンセラーや専門医による精神療法です。

適応障害が見られたら、まず支持的精神療養によって心の働きを支えて落ち着かせ、ストレスの原因をつきとめます。また、どのような方法でストレスと向き合うようになれるかを検討します。

薬物治療や周囲のサポート、医学的介入などで初期段階を脱すれば、認知行動療法や森田療法を行い、ストレス耐性を向上させていく治療を行います。

おわりに:適応障害は、タイプによって症状や効果的な治療法が異なる

目に見えない病気であり、放っておくとうつへと移行してしまう可能性のある適応障害。薬物による治療はあくまで補助的であり、専門的な介入と周囲のサポートが必要不可欠となります。症状によってさまざまなタイプがあり、適した治療法は異なるため、専門医にしっかりと見てもらうことが大切です。

厚生労働省 の情報をもとに編集して作成 】

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