記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
鼻水、くしゃみ、頭痛など、花粉症の症状は風邪とよく似ています。では、風邪と花粉症を見分ける方法はないのでしょうか?
ここでは花粉症と風邪との違いや見分けかたについて解説していきます。
花粉症の主な症状はくしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみで、即時相反応といってこれらの症状が真っ先にでます。風邪と勘違いされやすいですが、花粉症は花粉の暴露を受けることでこれらの症状が出現します。
花粉症と風邪の違いとして、花粉症の最大の特徴は目のかゆみです。風邪でも鼻が詰まることはありますが、目のかゆみが出ることはほとんどないため、ここが風邪と花粉症を見分ける最大のポイントとなります。
なお、風邪でもくしゃみが出ますが、花粉症の場合は発作的に連続してくしゃみが出るので、回数が圧倒的に多いです。
また、花粉症は風邪とは違い、症状が数日でおさまるものではないので、上記の症状が長引く場合は花粉症を疑っても良いでしょう。
風邪の場合の鼻水は、初期の頃はサラサラとしていますが、数日後には黄色っぽくなり、粘性が増していきます。しかし、花粉症の場合の鼻水は、ずっと透明でサラサラしているのが特徴です。
また、風邪の場合は一日中鼻づまりが起こりますが、花粉症の場合は特に朝型に鼻づまりが見られる傾向にあります。
咳や熱が出ると風邪だと思ってしまう方は多いですが、花粉症でも鼻づまりによって頭痛、鼻や喉の炎症反応によって熱や咳が出たり、だるさなどの症状が出現することがあります。
熱が高熱の場合は風邪やインフルエンザの可能性がありますが、微熱の場合は花粉症の可能性があります。
また、一般的に喉の痛みがある場合は風邪の可能性が高いですが、くしゃみを繰り返したり、喉に鼻水が流れ落ちることで喉の粘膜にダメージが加わって炎症が生じ、喉の痛みを引き起こすケースもあります。
いずれにしても、長く症状が続く、毎年同じ時期に同じような症状が現れるときは一度病院で診てもらいましょう。
花粉症の人が風邪を併発すると、鼻腔内の炎症が鼻の奥の副鼻腔まで達してしまい、合併症として副鼻腔炎(蓄膿症)を起こす恐れがあります。
水っぽかった鼻水が途中から黄色くなったり、頭痛など別の症状が見られるようになった場合は、細菌感染を併発している可能性があるので早めに病院を受診しましょう。
花粉症の治療薬で経口薬を処方されている場合、風邪薬と同じ血管収縮薬や抗ヒスタミン薬が含まれている可能性があるので、風邪薬と併用すると血中濃度が上昇し、眠気や不整脈、心不全などの副作用を起こすリスクが上がります。
花粉症の方で風邪をひいてしまった場合は、服薬中の薬について必ず医師に伝えるようにしてください。
インフルエンザと風邪、花粉症はいずれものどや鼻の症状が出やすいため、しっかり区別することが大切です。特に、インフルエンザは重症化しやすいので疑われる症状がある場合は早めに病院を受診することが大切です。
それぞれの症状は以下の通りですので参考にしてください。
38度以上の発熱やのどの痛み、咳、鼻水などの症状が見られ、全身倦怠感や関節痛などの症状が強いのが特徴です。症状は3~5日ほどで改善することがほとんどですが、高齢者や小児など免疫力が低い人では肺炎などを合併することもあります。
最近では、37.5度前後までしか熱が上がらないケースもありますので、喉の痛みやいつもとは違うだるさなどを自覚した場合は注意しましょう。
一般的には、喉の痛みやドロドロとした鼻水、鼻詰まり、咳、痰などの上気道症状が見られます。熱は上がらないこともありますが、小児などでは38度前後の発熱が見られることも少なくありません。多くは3日以内に軽快しますが、中耳炎や副鼻腔炎などを合併することもあります。
くしゃみや鼻水、鼻詰まり、目のかゆみ、流涙などのアレルギー症状が主体となります。鼻水はさらさらとした水のような性状であり、突発的に大量に排出されます。特に外出時などに症状が強く現れるのが特徴で、発熱を伴うことはほとんどありません。
花粉症の症状は風邪の症状とよく似ていますが、目のかゆみといった目の症状が強く現れている場合には、花粉症の疑いが強いです。
風邪薬を飲んで改善するものではないので、「もしかして?」と思ったら、専門外来で花粉症の検査を受けましょう。
また、花粉症とインフルエンザや風邪を併発する場合もあるので、自己判断せずまずは病院に相談するようにしてください。