高齢者の貧血の原因は?予防する方法はあるの?

2018/2/20 記事改定日: 2019/1/30
記事改定回数:1回

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

「貧血=若い女性に起こる症状」というイメージがある人も多いと思いますが、実は高齢者も貧血になることが多いです。この記事では、高齢者の貧血の原因と予防方法について解説していきます。

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高齢者に多い貧血の種類は?

高齢者に起こりやすい貧血には主に4タイプあります。

鉄欠乏性貧血

鉄欠乏性貧血は鉄分の不足が原因です。高齢者が鉄欠乏性貧血を起こす原因としては、胃や大腸など消化器系のがんによるものや、鎮痛薬による胃潰瘍からの出血などが挙げられます。

慢性的な炎症

感染症や膠原病を始めとした疾病で慢性的な炎症症状があると、ヘプシジンという物質が産生され貧血を起こします。

骨髄性の疾患

骨髄には血液の細胞を作る役割を担っているので、骨髄の疾患は貧血の要因になります。

老人性貧血

老人性貧血とは、加齢による赤血球の生成機能の低下や、赤血球に刺激を与えるホルモンの機能低下によって引き起こされます。

高齢者の貧血は、本人や周囲が気づきにくい?

高齢者は貧血に気づきにくいと言われています。それは、高齢者は活発に運動したり活動したりする機会が少なくなり、めまいや息切れなどの自覚症状を感じる機会も減ってしまうためです。実際、高齢者の方は倦怠感などが出ても年齢のせいと思いがちで、医療機関で検査を受けることはあまりありません。

また、病気で投薬を受けている人の場合、その薬が貧血の原因になることもあります。たとえば、リウマチの痛み止めは胃に負担をかけるため、胃からの出血の原因になることがあります。また、血液をサラサラにする薬は血がとまりにくくなるため、何らかの原因で胃から出血すると血が止まらずに貧血に陥ることもあります。

なお、胃がんによって胃の切除をした人も注意が必要です。血液細胞の分裂を促進するビタミンB12不足で貧血を起こすことがあります。そして、医師や薬剤師の説明を聞き流してしまうことも、貧血に気づきにくくなる原因と言われています。

高齢者の貧血は予防できる?

高齢者は些細な原因で貧血を引き起こすことがあります。中には、がんや胃潰瘍といった病気が原因で貧血が起きていることもあるため、体のだるさがずっと続いている場合は、なるべく早めに病院を受診して検査・治療を受けることおすすめします。

一方、病気ではなく加齢による生理的な原因による貧血は、食生活を改善すれば予防できます。貧血の予防には、ヘモグロビンの原材料である鉄分とたんぱく質を十分に摂取することが大切です。特に、鉄分は、体内への吸収がよい野菜や豆類などに含まれる「非ヘム鉄」を多く摂るようにしましょう。そのほか、鉄の吸収を促すビタミンCや血液の生成に必要なビタミンB12や葉酸などの栄養素も積極的な摂取も重要です。

おわりに:気づきにくい高齢者の貧血。鎮痛薬を服薬している方は特に注意しましょう

貧血になっている高齢者の方は少なくありませんが、自覚症状が乏しいために長らく放置してしまう傾向にあります。リウマチや既往症などで鎮痛薬を日常的に服薬している方は、発症しやすいので特に注意が必要です。年のせいと片づけず、体の不調が長引くときは、念のため病院で診てもらいましょう。

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