食中毒の対処法 ― 応急処置と食事対策、二次感染の予防法とは!?

2018/3/20 記事改定日: 2018/5/17
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

ご自身やご家族が食中毒に感染し、嘔吐や下痢といった症状が出た場合は、正しい応急処置で悪化を防ぎ、適切な汚物処理で二次感染を防ぐことが非常に重要です。それぞれの具体的な方法について解説していくので、いざというときに役立ててください。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
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食中毒の代表的な症状

食中毒による主な症状は、腹痛、下痢、吐き気や嘔吐、発熱です。食中毒の原因菌やウイルスに汚染された食品を摂取したことで体内でウイルスや細菌が増殖し、その影響で胃腸の機能が低下することでこれらの症状が引き起こされます。

食中毒の症状や潜伏期間は、原因菌やウイルスによって異なります。食事後の数時間で発症する場合もあれば、感染してから症状が現れるまでに数週間から1か月ぐらいかかる場合もあります。

家庭での対処法 ― 応急処置と病院に行くべきサイン

食中毒のような症状が出たら、まずは脱水症状を防ぐためにスポーツドリンクなどで水分補給をすることが大切です。吐き気がある場合は横向きに寝かせ、吐いたものが喉に詰まるのを未然に防ぎましょう。

また、下痢の症状が酷くても、自己判断で市販の下痢止めを飲むのは止めましょう。食中毒の原因菌やウイルスが排出されなくなり、症状がさらに悪化してしまう可能性があるからです。薬は必ず病院で処方してもらいましょう。

病院に行くべき症状

下痢や嘔吐が治らない、血便、呼吸困難などの重篤な症状がみられる場合は、すぐに病院を受診してください。

二次感染を防ぐ対処法 ― 適切な吐しゃ物や汚物処理とは!?

吐しゃ物や大便にはウイルスや細菌が付着しています。床に汚物が飛び散ってしまった場合は、使い捨てのマスクや手袋を必ず着用し、ペーパータオルでしっかりと拭き取るようにしましょう。

その後は、次亜塩素酸ナトリウムで消毒を行ってください。ウイルスが完全に消滅せず、二次感染する可能性があるからです。処理した汚物はきちんと袋に密閉して破棄し、処理後は手を徹底的に洗ってください。

なお、ウイルス性の食中毒の場合は乾燥すると空気に漂いやすくなるので、速やかに処理を開始することが非常に大切です。

もし布団で嘔吐してしまった場合は、吐しゃ物を拭き取り、洗剤を入れた水の中でもみ洗いしてください。このときしぶきを吸い込むと二次感染する恐れがあるので、静かに洗うのがポイントです。その後はリネン類であれば85℃での消毒と、1分以上の熱水洗濯を行ってください。

食中毒になったときには、どんな食事をとればいい?

食中毒になったときには、十分に水分を摂って下痢や嘔吐で失われた水分を補う必要があります。ですが、水分摂取だけでなく炎症した胃腸に過度な刺激を与えないような食事を選ぶことも必要となります。

食中毒になったときには、胃腸の粘膜が炎症を起こして荒れている状態です。このため、お粥やスープ、ヨーグルト、ゼリー類などの柔らかく消化の良いものを摂るようにしましょう。
塩分や香辛料が多く含まれたものは胃腸の粘膜を刺激することがありますので、あっさりした味付けで香辛料を含まないものが理想的です。また、食物繊維は腸管を過度に刺激することがありますのでこんにゃくやイモ類などの食物繊維が豊富な食材は避けた方がよいでしょう。

おすすめレシピ

では、具体的にどのようなメニューを選べばよいのでしょうか。ここでは、食中毒の時でも簡単に作れるおすすめレシピをご紹介します。

① 出汁たっぷりのにゅうめん

にゅうめんは吐き気があるときにも食べやすく消化も良いので、食中毒のときにはおすすめです。
出汁は鰹節や昆布でしっかりとり、余分な塩分が含まれている化学調味料は使用しないのが大切なポイントです。お好みの出汁をしっかりとり、茹でたそうめんを投入、溶き卵を入れて完成です。出汁は昆布を半日ほど水につけておくだけでもしっかりとれますので、試してみてください。

② バナナヨーグルト

固形物が食べられないときのおすすめのおやつレシピです。味付け次第で甘くも酸っぱくもできるため、食べやすい味付けで作って下さい。
バナナは適当な大きさに切ってスプーンでよく潰します。このとき、電子レンジで30秒ほど加熱すると甘みが増します。ここに市販のヨーグルトを投入し、味付けとしてはちみつやレモン汁などをお好みで加えて完成です。
ヨーグルトは冷蔵庫から出したままの状態では冷たく、胃腸に負担をかけるので常温に戻しておくとよいでしょう。

おわりに:適切な対処で容体の悪化と二次感染を防止しよう

ノロウイルスのような強力な感染力を持つウイルスに感染してしまった場合、家族への二次感染を防ぐことが非常に重要になっていきます。ご紹介したポイントを踏まえつつ、落ち着いて対処することが大切です。

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