記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/3/15 記事改定日: 2018/8/24
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
仕事を効率的にこなしていくには、脳のいいパフォーマンスが欠かせません。そこで知っておきたいのが、「血糖値の急上昇・降下が脳のパフォーマンスに影響を与える」という話です。
この記事では、血糖値の急上昇を防ぐ方法について、血糖値の上昇が体に与える影響もあわせて解説していきます。
食事をとる際は、「空腹の時間を作らない」「炭水化物の種類を選ぶ」ことが大切となります。
空腹の時間が長く続いた後で食事をとった場合、血糖値は急上昇することがわかっています。長い空腹後には、反動で食事を勢いよくとってしまいがちですが、そうなるとますます血糖値を急上昇させることになり、脳のパフォーマンスに悪い影響を与えます。
そのため空腹時間が長くなり過ぎない、適度な間食を行うことが大切です。食事間隔が空き過ぎるようなら、その間に一度ナッツのような血糖値が上がりにくい食べ物を少しつまむのが良いでしょう。
また炭水化物の中にも種類があり、その違いによって血糖値の上がりやすさも異なるため、上昇が緩やかなものを選んで食べることが大切です。炭水化物の中でも「食物繊維の多いもの」は、体内への吸収が緩やかです。ですが炭水化物から食物繊維を除いたものである「糖類」「糖質」は吸収されやすく、血糖値が急激に上がります。白米や小麦などがその代表的な食べ物ですので、取りすぎには注意が必要です。
血糖値が急上昇すると、血糖を下げるためのホルモンであるインスリンが急速に大量分泌されるため、一時的に多くの血糖が分解されて糖分が不足することがあります。
脳が正常な活動を行いには十分な糖分が必要であり、この糖分が不足することによって脳の働きが低下し、眠気を感じることがあります。
また、血糖の急上昇が脳の覚醒に関与するオレキシンというホルモンの分泌を抑制して眠気を引き起こすとの説も唱えられています。
血糖値が急上昇するとインスリンの大量分泌によって一時的に低血糖状態が引き起こされます。その結果、眠気だけではなく、吐き気や動悸、冷や汗、手の震えなどの身体症状に加え、疲れやすい、集中力の欠如、無気力、不安感の増加など精神的な症状も現れることがあります。
人間の思考、記憶、感情、またすべての身体の動きを管理している脳のパフォーマンスは、「血糖値」と深い関係があります。
血糖値とは「血液内のブドウ糖濃度」のことです。主に食事によって摂取された炭水化物が、消化吸収の過程を経てブドウ糖となり、それが小腸内で吸収され、血管を通して全身へと送られています。ブドウ糖は心臓や筋肉など様々な細胞のエネルギーとなりますが、特にそのエネルギーを必要とするのが脳です。
脳をしっかりと働かせるにはブドウ糖が必要となります。ですが一方で炭水化物を取りすぎると血糖値が急激に上昇し、それを下げるホルモン「インスリン」が過剰分泌され、血糖値が急激に下がってしまいます。その結果、脳にはブドウ糖が届かなくなってしまうのです。
つまり脳が高いパフォーマンスを出すためには、ただ多くの炭水化物をとればいいわけではなく、インスリンによる血糖値の急激な低下が起こらないよう、食事のとり方にも工夫が必要となります。
脳にエネルギーをしっかりと与えるには、炭水化物をしっかりと摂取しながらも、急激な血糖上昇を抑えるような効率の良い食べ方が大切となります。その参考となるのが「GI値」と呼ばれる指標です。
GI値は血糖値の上昇スピードを測定したもので、最も上昇の速い「ブドウ糖を摂取した場合」を100とし、食品ごとにその値を相対的に示したものです。この値を参考にし、できるだけ「GI値が低い」炭水化物を摂取するように心がけましょう。例えば、白米よりは玄米などの方がGI値は低くなります。
また食事は「よく噛むこと」が大切です。よく噛むことで消化効率が良くなるだけでなく、満腹中枢が刺激されるため食べ過ぎの防止にもなります。噛む回数の目安としては、厚生労働省が推奨している「1口で30回」を目安としてみてください。
さらに「食べる順番」も大切です。食物繊維の多いものを先にとることで、糖質の吸収をゆっくりにすることができるため、サラダなどの食物繊維の豊富なものから順に食べることで、血糖値の上昇を緩やかにすることができます。
脳をしっかり働かせるにはブドウ糖の摂取が欠かせませんが、かといって炭水化物を過剰摂取すると血糖値が急上昇し、かえって脳のパフォーマンスが下がってしまいます。炭水化物の種類や食事のとり方などを工夫し、血糖値をうまくコントロールしていきましょう。
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