花粉症の人がトマトを食べるとアレルギーを起こすことがある?!

2018/3/15

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

花粉症の症状といえば、くしゃみや鼻水、目のかゆみなどを思い浮かべる方が多いですが、実はスギ花粉症の人はトマトを食べたときにアレルギー症状が出ることもあるのです。その理由や治療法について、詳しく解説していきます。

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口腔アレルギー症候群(OAS)とは?

口腔アレルギー症候群(OAS)とは、主に生の野菜・果物などの食材に反応して起こる、食物アレルギーの一種です。特定の食べ物を摂取することが原因で起こり、その食べ物を口に入れてから15分以内の即時に、口腔を中心に症状が出てくるのが特徴です。

現れる症状は人によって異なりますが、代表的なものでは口の中の粘膜やのど、舌、口唇などへの刺激感、腫れ、かゆみ、閉塞感などが現れます。重篤な場合だと、鼻水、結膜の充血、全身性のじんましんの他、消化器の不調や下痢、咳や喘息から呼吸困難を起こすケースもあります。

ほとんどの場合、口腔周辺のかゆみや刺激感など軽度な症状で済みますが、人によっては命の危険を伴うこともあるため、注意が必要な疾患です。

スギ花粉症とトマトの関連性

花粉と生野菜・果物のアレルゲン構造が似ていることから、すでに花粉症を発症している人は口腔アレルギー症候群(OAS)を発症しやすいことがわかっています。このように、身体の中にある花粉への抗体が、勘違いから似ている構造のアレルゲンを攻撃してしまう反応を「交差反応」と言います。

花粉にはそれぞれ交差性の高い野菜・果物があり、交差性が高い花粉と野菜・果物の組み合わせほど、口腔アレルギー症候群(OAS)を併発するリスクが高くなるのです。

特に、花粉症として代表的なスギ花粉は、生のトマトとの交差反応が確認されているため、スギ花粉症の人がトマトによる口腔アレルギー症候群(OAS)を発症する可能性は高いと言われています。

口腔アレルギー症候群(OAS)の治療法について

口腔アレルギー症候群(OAS)の治療法としては、原因となる食べ物を特定し、摂取しないように避けることが基本になります。

特定の食べ物に症状が出ているのに無理して摂取し続けるとアレルギー症状が悪化し、アナフィラキシーなどの重篤な状態に陥る可能性がありますので、絶対にやめましょう。

また、口腔アレルギー症候群(OAS)を引き起こすアレルゲンには熱を加えると崩壊するものも多いので、火を通せば食べても症状が出なくなるというケースもあります。ただし、加熱して食べられるかどうかは、症状の出方や程度、個人の体質によって異なります。

なお、口腔アレルギー症候群の治療では、長期的な抗アレルギー薬の服薬が基本です。もし症状が出てしまった場合はすぐに抗ヒスタミン薬や副腎皮質ステロイド薬などを服用し、症状の進行を止める必要があります。なお、軽症であれば1時間ほどで症状は引いていきますが、1時間経っても改善しなかったり、重篤なショック症状が出たりした場合には、速やかに救急外来を受診してください。

おわりに:花粉症の人は口腔アレルギー症候群(OAS)を発症しやすいと覚えておこう

どんな人にも口腔アレルギー症候群(OAS)を発症するリスクはありますが、交差性がある分、花粉症の人はより発症のリスクが高くなります。放置して重篤なアレルギー症状に陥ってしまう前に、食事中少しでも口腔内に異常を感じたら早めに病院を受診し、原因食材の特定と、治療に関する相談を行ってください。

厚生労働省 の情報をもとに編集して作成 】

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