ダニアレルギーの根本治療は可能?発作予防はどうすればいい?

2018/3/14 記事改定日: 2018/5/23
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山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

ハウスダストアレルギーの中でも、患者数の多い「ダニアレルギー」。このダニアレルギーの治療や発作を予防するには、どんな方法があるのでしょうか?最新の治療法も併せてご紹介していきます。

ダニアレルギーになると、どんな症状が出る?

ダニアレルギーには様々な症状が出ますが、どれも一般的なアレルギーの症状と同じです。
特に自宅の中でのみ以下のような症状が出る場合にはダニアレルギーの可能性があります。

① 鼻水、鼻づまり、くしゃみ

鼻の粘膜がアレルギー反応によって腫れることで、鼻水や鼻づまり、くしゃみなどの症状が現れます。どちらの症状が出るかは人によって異なりますが、一般的には鼻水が出ることの方が多いでしょう。

② 目の充血、かゆみ

目もアレルギー症状が出やすい場所であり、充血やかゆみが現れます。

③ 蕁麻疹

アレルゲンを吸い込むと、蕁麻疹が現れることがあります。症状は皮膚の一部分に飲み現れる軽度なものから、全身に現れる重度なものまで様々で、場合によっては病院で点滴治療が必要になることもあります。

④ 吐き気、嘔吐、下痢

アレルギー反応によって胃腸の粘膜に腫れが生じると、吐き気や嘔吐、下痢などの消化器症状が現れることがあります。消化器症状は通常、軽症なアレルギーでは起こらず、重症なアレルギー反応が生じた場合に起こりやすい症状です。

⑤ 気管支喘息

繰り返されるアレルギー反応で気管が狭くなり、気管支喘息を発症することがあります。アレルゲンを吸い込んだときに喘息発作を生じる可能性があり、予防的なステロイド吸入などの治療が必要になることもあります。

⑥ アナフィラキシー

気管の粘膜が腫れることで呼吸困難となり、早期に適切な処置を行わなければ死に至ることもある症状です。ダニアレルギーでアナフィラキシーを起こすことは多くはありませんが、大量のアレルゲンを吸い込んでしまった場合などには注意が必要です。

ダニアレルギーにアレルゲン免疫療法は有効?

「アレルゲン免疫療法」とは、減感作療法(げんかんさりょうほう)ともよばれる、アレルギー疾患の治療法のひとつです。アレルギーの原因であるアレルゲンを少量から投与して身体を慣らし、過敏反応が起こらないようにする治療法で、花粉症、アレルギー性鼻炎、気管支喘息などに対して行われています。

100年以上前からある治療法で、日本ではアレルゲンを含む治療薬を皮下に注射する「皮下免疫療法」が1960年代から行われていました。この方法では、治療開始後何度も医療機関に出向き注射をする必要があります。

一方、「舌下免疫療法」は、注射による免疫療法の欠点を改善した新しい治療法で、スギ花粉症に続き2015年にダニのアレルギー性鼻炎にも保険適応となりました。舌下免疫療法は、舌下への治療薬の投与となるため注射の痛みがなく、自宅での服用が可能です。

ダニ舌下免疫療法はどんな治療法なの?

ダニ舌下免疫療法では、専門医の指示に従い、1日1回自宅で治療薬である錠剤を舌下(舌の裏)に置いて溶かします。1~2分間そのままにしておいてから飲み込み、その後5分間は飲食やうがいはできません。基本的に毎日行う治療で、行わない時期を繰り返すと効果が少ないだけでなく安全性に問題が出ます。

ダニ舌下免疫療法で用いられる治療薬には、「アシテア®」と「ミティキュア®」があります。どちらもヤケヒョウヒダニとコナヒョウヒダニの成分を50%含みますが、アシテア®にはミティキュア®より約5.7倍の量が含まれています。副作用も含めどちらがより安全で効果的かについては、まだわかっていません。
また、ダニ舌下免疫療法の効果については、約8割の人に効果があるものの、約2割の人には効果が少ないあるいは出ないというデータがあります。

ダニアレルギーの治療(舌下免疫療法)の流れや副作用について

流れ

基本的には

  • 初回の診察で血液検査
  • 1~2週間後に検査結果に基づき初回の滴下が実施
  • 2週間後の再診で継続可能と診断されれば、その後は1カ月に一度の診察

の流れで実施されます。

副作用

副作用として、まれですが服用直後に強いアレルギー反応(アナフィラキシー)を起こす可能性があります。院内で30分以上安静にした後バイタルなどをチェックし、問題がなければ14日目までの薬が処方されます。

期間

舌下免疫療法は、免疫を変え体質を改善する治療のため、長期の継続が必要です。まず1~2年で効果を確認し、効果があれば合わせて4~5年続けることがすすめられています。

効果が出るまでの期間は人によりますが、1年目より2、3年目の効果が大きいというデータもあるので、焦らず治療していきましょう。ただし、口内炎や舌下の腫れ、のどや耳のかゆみ、頭痛などの軽い副作用がでる可能性があります。医師の指示に沿った正しい服用が大切です。

ダニアレルギーの予防対策 ― 日常生活でできること

ダニは自然界に広く生息するものであり、生活の中から完全にダニを除去することは困難です。このため、ダニアレルギーの人は出来る限りアレルゲンを除去してアレルギーによる症状が起こらないように日常生活の中で注意すべきことがいくつかあります。
まず、ダニの死がいや糞を可能な限り排除するために丁寧な掃除を行い、ダニが住み着きやすい布団や毛布などは定期的に天日干しをしましょう。

また、カーペットはダニの温床となりやすいため、できるだけフローリングを選ぶようにして、犬や猫などのペットも毛の中でダニが繁殖しやすくなるので重症なダニアレルギーの人がいる場合にはペットの飼育を控えた方が無難です。
最近ではダニを除去するシャンプーなども市販されているので、これらでしっかりケアを行いましょう。
そして、ダニを除去に対応している空気清浄機も販売されていますので、症状がひどい人は試してみることをおすすめします。

ダニアレルギーに効く市販薬はある?

ダニアレルギーは、全身の様々な部位にアレルギー症状が生じます。このため「薬」といっても、どのような症状かによって使用するものが異なってきます。

ただ、市販薬でもアレルギー用の目薬や蕁麻疹への塗り薬などは一定の効果があるものもあり、市販されているアレグラ®などはアレルギー反応を根本から改善する効果が期待できるため、人によってはアレルギー反応を改善することが可能です。

しかし、気管支喘息などの重篤な症状がある場合には、市販薬での改善は見込めないので、医療機関での適切な治療が必要です。
アレルギーが疑われる場合には、まず医療機関で検査を受けて、自分に合った治療法を相談するようにしましょう。

おわりに:ダニアレルギーに苦しんでいる場合は、まずは医師に相談を

これまでのアレルゲン免疫療法は、皮下注射を繰り返すものでした。これを改善したのが、舌下免疫療法という新しい薬による治療です。ダニアレルギーに苦しんでいるなら、専門医を受診してダニ舌下免疫療法が可能か相談してみてはいかがでしょうか。
また、予防のためには、家の清掃などを徹底することも大切です。担当医と相談しながら、アレルギー発作がなるべく起こらないように工夫していきましょう。

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