アラキドン酸に認知症の予防効果はある?ない?

2018/3/15

山本 康博 先生

記事監修医師

東大医学部卒、独立行政法人国立病院機構東京医療センター

山本 康博 先生

不飽和脂肪酸の一種、「アラキドン酸」。近年、このアラキドン酸の摂取が認知症予防につながるとして話題になっていますが、果たしてこれは本当なのでしょうか?

アラキドン酸とは?

アラキドン酸は、不飽和脂肪酸の一種です。細胞膜を作るリン脂質を構成する脂肪酸の一種で、脳、皮膚、血液などの人の体内に存在しています。乳児の発達に欠かせず、母乳にも含まれている成分で、魚や鶏卵、肉などの食品から摂取することができます。

最近ではアラキドン酸の脳細胞を作るはたらきに注目が集まっており、アラキドン酸は記憶や学習、認知、応答力にかかわりがあるとも考えられています。

アラキドン酸は認知症予防に効果的なのか?

日本で高齢化が進むにつれ、「認知症」とよばれる、加齢による知能の低下が問題になってきました。一度なってしまうと完治は難しい症状ですが、そんな中、アラキドン酸がもつ新しい可能性に注目が集まっています。

高齢の方やアルツハイマーを患った方は、脳の細胞膜に含まれるアラキドン酸が少なくなる傾向があると判明しており、この成分を摂ることで脳の神経細胞の生成を促せる可能性があるのです。実際に、老齢ラットの学習・記憶能力や、高齢者の認知応答力を改善したという結果も報告されています。同時に、気分を良くしたり、意欲を高めたりと、心の状態を改善するはたらきも期待できそうです。

摂りすぎると認知症のリスクを高めるという報告も・・・

アラキドン酸のような「不飽和脂肪酸」はサラサラとしていて、常温で固まりにくく体内でも液体の状態です。そのため、体にいい油として、血中のコレステロール値や中性脂肪を調節するはたらきがあるとされてきました。しかし、場合によってはマイナスの作用をもたらすため、注意が必要です。

不飽和脂肪酸はオメガ3系とオメガ6系に分かれ、それぞれ違った性質をもっています。オメガ3系はDHAやEPAといったイワシやサバ、サンマなどの青魚の油や、エゴマ油やアマニ油などで、豊富なα(アルファ)リノレン酸を含んだものです。

一方、オメガ6系は、大豆油やコーン油、サラダ油といった植物油など、豊富なリノール酸を含んだもので、アラキドン酸はこちらのグループに属しています。そしてこのオメガ6系の脂肪酸には、摂りすぎると免疫細胞をはたらきにくくし、炎症疾患を起こす可能性が報告されているのです。

そのため、オメガ6系の油ばかりを摂りすぎず、オメガ3系とともにバランスよく摂っていく必要があります。両者の理想的な摂取比率は1:1から1:4といわれていますが、日本人の食生活でも肉類の割合が増えてきたため、オメガ6系脂肪酸の摂取が過剰になる傾向があります。人によっては、積極的に摂ろうとするよりも、多く摂りすぎないよう気を付ける必要があるほどです。

おわりに:アラキドン酸の適量摂取を心がけよう

近年の研究によって、アラキドン酸には脳細胞を作るはたらきがあると判明し、このことから認知症予防の効果が期待されています。しかし、摂りすぎるとかえって認知症のリスクを高める可能性があるので、過剰摂取には十分注意しましょう。

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