記事監修医師
前田 裕斗 先生
2018/3/12 記事改定日: 2018/8/14
記事改定回数:1回
記事監修医師
前田 裕斗 先生
閉経後の女性が発症する可能性のある疾患に、「萎縮性腟炎(老人性腟炎)」というものがあります。今回の記事ではこの萎縮性腟炎の症状や原因、治療法などの概要をご紹介していきます。
萎縮性腟炎(老人性腟炎)は、閉経後に腟の分泌液が減ったことで、腟に炎症が起きた状態です。かゆみや性交痛、出血、黄色いおりものといった症状が特徴ですが、デリケートな問題なので一人で悩んでいる患者さんも少なくありません。治療によって改善するケースが多いので、専門の医療機関にてまずは診察を受けるようにしてください。
萎縮性腟炎のそもそもの原因は、閉経に伴う女性ホルモンの分泌量の低下です。女性ホルモンが不足すると腟壁のコラーゲンが減少し、萎縮・乾燥するようになります。すると腟が傷つきやすくなり、雑菌が繁殖しやすくなることで、おりものの異常やかゆみといった症状が現れるようになります。これが老人性腟炎が起こるメカニズムです。
萎縮性腟炎の治療法には、以下のものがあります。
萎縮性腟炎の症状として腟の乾燥やそれに伴う性交障害に悩まれている方であれば、性交渉時に潤滑剤を使用することがお勧めです。ただし根本的な治療になるわけではないため、症状の比較的軽い人向けの方法です。
萎縮性腟炎の原因は女性ホルモンの減少のため、ホルモン補充療法は有効な治療法です。ホルモン補充療法では、必要最低限のホルモンを補充することで閉経による変化を緩和します。飲み薬や塗り薬、貼り薬などさまざまなタイプから選ぶことができます。なお、子宮のある方でエストロゲンだけを長期的に投与すると子宮がんの発症リスクが上がるため、プロゲステロンを併用する方法が一般的です。
ホルモン補充療法は、比較的軽度の萎縮性腟炎に効果を発揮しますが、ある程度萎縮が進行してしまっている場合は、効果が得られません。またホルモン補充療法には、不正出血や下腹部痛などの副作用のリスクもあります。
専用のレーザーを使って腟細胞を再構築させ、腟本来の潤いを取り戻す治療法です。
エクオールとは、エストロゲンの受容体に結合することでエストロゲンと非常によく似た働きを行う薬剤です。
また、エストロゲンに似た働きをするだけでなく、男性ホルモンの一種であるアンドロゲンの働きを抑えたり、老化を抑制する抗酸化作用を持ちます。
服用を続けると萎縮性膣炎の改善効果が期待できますので、ホルモン療法に抵抗のある萎縮性膣炎患者におすすめの薬剤といえます。ただし、エクオールはあくまでも「エストロゲン様作用」を担うに過ぎません。補完療法や代替療法としての位置づけとして、服用を続けても効果がない場合には、産婦人科を受診してホルモン療法などの治療を行うことをおすすめします。
デリケートゾーンの悩みは一人で抱えてしまいがちですが、ご紹介したように、萎縮性腟炎にはさまざまな治療法があります。放置していると症状が悪化し、効果が期待できる治療法が限定されてしまう可能性があるので、おりものの異変などでお悩みなら早めに婦人科を受診するようにしましょう。