記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/3/19
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
筋トレ用のサプリメントとしても販売される「分岐鎖アミノ酸」ですが、この分岐鎖アミノ酸はどのタイミングで摂取するのが効果的なのでしょうか?また、副作用の心配はないのでしょうか?
分岐鎖アミノ酸(BCAA)は、筋肉に含まれる必須アミノ酸の約30~40%を占める、筋肉にとって大切なアミノ酸です。タンパク質を構成するアミノ酸は20種類ありますが、そのうち体内で合成できない9種類を必須アミノ酸といいます。中でもバリン、ロイシン、イソロイシンの3つは、一部が分岐した構造をしており、分岐鎖アミノ酸またはBCAA(Branched Chain Amino Acid)と呼びます。
人間が何らかの活動をするときには、血液中のブドウ糖やアミノ酸をエネルギー源として使用します。しかし、もし血液中の成分が足りなくなれば自らの筋肉を分解することでエネルギーを確保するため、筋肉量は減少していき、分岐鎖アミノ酸もエネルギーとして使われてしまいます。また、血液中の分岐鎖アミノ酸の減少によって脳に何らかの疲労物質が蓄積し、脳が疲労を感じるようになるという説もあります。
分岐鎖アミノ酸は体内で合成ができないため、食事から補給する必要があります。激しいスポーツをする場合やトレーニング効果を高めたい場合には、さらにサプリメントなどで補うことが望ましいでしょう。
スポーツや筋トレなどで効率的に効果を高めたいときは、分岐鎖アミノ酸の摂取のタイミングを意識してみましょう。
運動の最中にも、体内のアミノ酸はどんどん使われていきます。分岐鎖アミノ酸は吸収が速いので、運動の前に摂取することはもちろん、運動の合間にもこまめに補っていくと良いでしょう。
運動終了直後も効果的な摂取タイミングです。運動によって壊れた筋肉を早期に回復させるために分岐鎖アミノ酸を補充しましょう。
睡眠時もエネルギーとしてアミノ酸は消費されていますから、起床時に摂取することも良いでしょう。また、アミノ酸の摂取は良い眠りを招くとも言われますから、就寝前に摂ると朝の目覚めがスッキリするかもしれません。
現在は、分岐鎖アミノ酸を摂取することによる明らかな副作用はないとされています。しかし、過剰摂取によって肝臓や腎臓への負荷がかかる可能性はあります。
人間はアミノ酸からタンパク質を合成したり、エネルギーとして分解したりを繰り返します。その経過の中で不要となった窒素は人体には有害な元素です。通常であれば、窒素は肝臓や腎臓の働きによって無害な尿素に変換されて、最終的に尿として排出されます。しかし、何らかの理由で体内に窒素が残存してしまえば、身体への負担が考えられます。個人差もありますが、極端な摂りすぎには注意が必要です。
分岐鎖アミノ酸は、筋肉の合成に大きく関与するアミノ酸です。スポーツのために効率的に筋肉をつけたいという人はもちろん、近年では高齢者の筋肉量不足においても注目されています。サプリメントなどを上手に併用して、健康な身体を維持していきましょう。