記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/3/19
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
「アスタキサンチン」という色素をご存知ですか?エビやカニなどの甲殻類に多く含まれており、疲れ目や動脈硬化予防に効果があるとされているのです。詳しくは以下でご紹介していきます。
アスタキサンチンは、天然の赤橙色の色素をもつ、カロテノイドの一種となります。このカロテノイドとは、緑黄色野菜に含まれるβ-カロテンやトマトに含まれるリコピンなどと同じ成分となります。
アスタキサンチンは、ノーベル化学賞を受賞した生化学者リヒャルト・クーン博士によって1938年にロブスターの甲羅と卵から発見されました。変わった細胞構造をしており、生体膜の表面と内側の双方で活躍できることから、活性酵素をしっかりと捕えることができるのが特徴です。
ロブスター以外にもエビ・カニなどの甲殻類、サケ・タイなどの魚類など、天然、特に海洋に広く分布する食べものに多く含まれています。
アスタキサンチンにはさまざまな効果があることが知られています。
まず、眼精疲労回復効果です。近年パソコンやスマートフォンの普及により眼精疲労を訴える人が増えてきていますが、アスタキサンチンによって眼精疲労が回復できるというデータがあります。
アスタキサンチンには赤血球の膜の脂質過酸化を抑え、赤血球膜の変形や酸素運搬などの機能を改善する効果があります。また、血管拡張作用もあるため、眼底血流量を改善すると考えられており、眼内で抗炎症作用を発揮するとも考えられています。このことから、目のピント調節機能に関わる毛様体筋や瞳孔筋の血流改善、疲労で生じた炎症などによっておこる眼器官の障害抑制をし、眼精疲労を緩和してくれる効果があると考えられています。
ちなみに、この効果を得るためにはアスタキサンチンを1日6mg以上摂取しなければならないとされています。
アスタキサンチンは脳の血管を保護するという効果も持っています。
脳は多くの酸素を消費する臓器であることから活性酵素が発生しやすいとされていますが、年齢とともに活性酵素を消去する能力は衰えていきます。活性酵素が大量に発生すると、血液中の悪玉コレステロールが酸化され、血管壁に蓄積されていきます。そうすると血管は本来の柔軟性を失い、動脈硬化の状態になります。この動脈硬化が進むと、脳梗塞や脳出血が起こりやすくなるのです。
アスタキサンチンに含まれるリコピン成分は、脂肪と混合することで酸化を強く抑制する作用があると考えられています。このため、悪玉コレステロールの酸化を抑制、活性酵素を除去して動脈硬化を予防し、さらに脳の血管を保護する働きが期待されます。
では、アスタキサンチンはなぜ、目と脳に効果的に作用するのでしょうか。
そもそも脳と目は人間の生命を維持していくうえで必要不可欠な臓器です。そのため、血液脳関門、血液網膜関門といった不必要な成分を通さない関所があります。しかし、アスタキサンチンはこの関門を通過できる特殊な成分構造をしているため、ダイレクトに目や脳に作用することができ、効果的に作用することができるのです。
酸化の抑制、活性酵素の除去など病気の原因となる物質の除去に高い効果を発揮するアスタキサンチン。特に目と脳といった重要な臓器に対して作用することは特筆すべきメリットです。日常生活の中で、アスタキサンチンを積極的に摂っていきましょう。