手の腫れが特徴的な症状の病気、RS3PE症候群とは?

2018/5/10

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

「RS3PE症候群」という病気をご存知でしょうか?高齢者の方に好発する疾患で、手がボクシンググローブのように腫れるという特徴があります。その他の特徴的な症状や治療法について、以降で解説していきます。

RS3PE症候群とは?

RS3PE症候群とは、60歳以上の方に好発する、リウマチ反応陰性の多発関節炎の一種です。「RS3PE」とはこの疾患の特徴を表す頭文字をそれぞれとったもので、Rは「予後良好」、S3は「Seronegative(血清反応陰性)」「Symmetrical(対称性)」「Synovitis(滑膜炎)」、PEは圧痕性浮腫(押したときに指の跡が残るむくみ)を意味します。

RS3PE症候群の代表的な症状

RS3PE症候群の代表的な症状は、次の通りです。

手足のむくみ

主に手の甲に、圧迫しても跡が残るむくみが起こります。足の甲もむくむことがあります。

腫れ・関節炎

左右対称の腫れや関節痛が、手や足、肘、肩、膝などの全身に起こります。手はその腫れ方から、「ボクシンググローブハンド」とも呼ばれます。この他に、関節領域以外でも筋肉痛が起こることがあります。

痛み

手指の屈筋腱(指や手関節を屈曲させる腱)や伸筋腱(指などを伸ばすための腱)に炎症が起こり、痛みます。中指の付け根や中指の第2関節が痛むことが多く、ほかにも手首や肩、膝、足首などが痛くなる人もいます。

その他の症状

倦怠感や体重の減少、微熱などが起こることもあります。

RS3PE症候群の治療法について

治療では、基本的に低用量のステロイド薬を使います。そして、RS3PE症候群の「R」が「予後良好」を示すように、プレドニゾロン®などの副腎皮質ステロイドの投与によって2週間程度で正常化することが多いです。しかし、薬をすぐに中止すると再発することがあるので、減薬は慎重に行う必要があります。また、減薬の途中で症状が再燃したり、ステロイド薬で効果が得られない場合は、免疫抑制薬を併用することもあります。

悪性腫瘍との合併率が高いって本当?

RS3PE症候群は、悪性腫瘍の初期症状という見方もされており、悪性腫瘍の合併率は31〜54%と高いです。男性の場合は通常の高齢者のおよそ7倍、女性は若年女性のおよそ4倍の発症率と言われています。

合併する悪性腫瘍の種類としては、特に胃癌、大腸癌、前立腺癌、悪性リンパ腫が多い傾向がありますが、肺癌や卵巣癌、膀胱癌、慢性リンパ性白血病を合併したとの報告もあります。こういった腫瘍随伴RS3PE症候群の場合は、ステロイドに対する反応が悪いことが特徴です。

また、RS3PE症候群はシェーグレン症候群や結節性多発動脈炎などの他の膠原病やサルコイドーシスなどとの合併例も報告されています。これらとの鑑別や診断が難しい病気なので、膠原病の専門医を受診することが非常に重要になります。

おわりに:RS3PE症候群はステロイド薬で改善する症例が多いものの、がんの合併率が高いという側面も

RS3PE症候群はステロイド薬の投与によって改善するケースが多いですが、一方で、悪性腫瘍を合併している場合もあります。早期検査が重要なので、該当する症状がみられた場合は、すぐに専門の医療機関を受診しましょう。

厚生労働省 の情報をもとに編集して作成 】

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