記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/3/20
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
ダイエット効果があるとしてサプリで人気の「アルファリポ酸」ですが、アルファリポ酸には抗癌作用もあると言われています。以降ではアルファリポ酸の作用や、実際に医療現場で適用されている治療法などをご紹介します。
アルファリポ酸は、細胞の中で大量のエネルギーを生み出すミトコンドリアを活性化させる役割を果たす成分です。エネルギーが効率よく使用されるようになるため、脂肪が蓄積されにくく、ダイエット効果が期待できるといわれています。
また、アルファリポ酸には、卓越した抗酸化作用があるとされ、細胞を劣化させる原因となりうる体内の活性酸素を除去し、細胞の老化を遅らせる効果があると言われます。さらに、コエンザイムQ10やグルタチオン、ビタミンC、ビタミンEなど、他の抗酸化物質とも相互に作用し合い、活性酸素を取り除いて抗酸化力が低下した抗酸化物質に働きかけて、抗酸化力を再生・復活させる役割もあります。
アルファリポ酸は体内でも生成されますが、それはわずかな量にすぎず、加齢に伴って生成量も減っていきます。そのため、一般的にはサプリメントのタブレット(錠剤)として摂取されることが多いです。
保険適応はありませんがアルファリポ酸は抗癌作用を期待して使用されることもあります。
癌細胞は、生物の細胞を酸化させる作用の強い「フリーラジカル」と呼ばれる物質の影響により、細胞膜に蓄積されたダメージが原因となって発生します。フリーラジカルの例としては、活性酸素・ストレス・タバコ・排気ガス・放射線・食品添加物・化学薬品などがあります。アルファリポ酸は、このフリーラジカルを細胞から除去し、あらゆる種類の癌の発生を抑制する強力な作用があると言われているのです。
ほかにも、アルファリポ酸は放射線治療によって傷ついた細胞の遺伝子をいたわり、副作用を緩和する効果や、抗癌剤を効きやすくしたり、抗癌剤の副作用を軽減する効果もあるとされています。
アルファリポ酸は、保険適応はありませんが、クリニックによっては「点滴療法」に用いられることがあります。アルファリポ酸はほぼすべての種類・部位の癌細胞の発生や転移、再発を防ぐ効果があると報告されおり、ビタミンC点滴療法と組み合わせることもあります。
また、アルファリポ酸点滴療法は、肝硬変やC型肝炎、糖尿病や動脈硬化などの生活習慣病、リウマチやパーキンソン病といった神経疾患などの治療や予防にも有効だといわれています。
ただし、点滴の針を刺した部分の灼熱感、あるいは鋭い痛みなどが残る副作用があります。また、冷や汗や震え、動悸など、低血糖が原因となる副作用が稀に起きることがあります。
アルファリポ酸はその強い抗酸化作用によりいま注目を集めています。2004年以降は医薬品でなく健康食品として解禁され、より身近な存在となりつつあります。健康効果が高いとされるアルファリポ酸ではありますが、点滴療法で利用したとき、一定の副作用がある点にはご注意ください。