マグネシウムに期待されている健康への効果とは?

2018/4/3

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

ミネラルの一種として広く知られている「マグネシウム」ですが、このマグネシウムの摂取によって、どんな健康効果が得られるのでしょうか?以降で詳しくご紹介していきます。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
冷凍宅配食の「ナッシュ」

マグネシウムとは?

「マグネシウム」はミネラルの一種で、体内で約300種類以上もの酵素の働きを助けています。地球上で6番目に多い金属の元素で、水に溶けにくい酸化物、水酸化物、フッ化物、リン酸塩、炭酸塩など、さまざまな成分と反応したかたちで広く存在しています。植物の中ではクロロフィル(葉緑素)の一部となり、人間の体内ではほとんどすべての生合成(酵素反応)や代謝に関わっています。

マグネシウムはカルシウムと密接に関わる、骨や歯をつくるのに必要な栄養素です。また、三大栄養素、特に炭水化物(糖質)をエネルギーに代えるのを助け、それを効率的に利用できるようにしてくれています。筋肉、脳、神経、肝臓、血液、細胞内液でも正常な働きを助けており、ミネラルバランスを整える役割も担いながら、さまざまな生理機能を支えているのです。

マグネシウムの効果とは?

マグネシウムには、まず「丈夫な骨をつくる効果」があります。骨の主成分であるリン酸カルシウムとともに弾力性のあるしなやかな骨を維持しながら、骨や歯にカルシウムが行き届くよう調節します。

また、「高血圧を予防する効果」もあります。マグネシウムには動脈を緩めて血圧を下げる働きがあり、血圧を上げる働きのあるカルシウムやナトリウムの量を調節し、正常な血液の循環を保ちます。

そして、血液中のカルシウム量を調節するとともに筋肉の収縮をスムーズにすることから、「心疾患を予防する効果」もあります。筋肉の収縮は、カルシウムが筋肉細胞の中に入って刺激を与えることによって引き起こされるのですが、マグネシウムにはこのカルシウムの動きを調節する機能があります。つまり、マグネシウムが不足すると筋肉の収縮がうまくいかず震えなどが起こるようになり、心臓が規則正しく動かせず、心疾患のリスクが高まってしまうのです。

また他には、糖尿病などの「生活習慣病の予防・改善効果」や、精神の興奮を抑えて神経伝達を正常に保つ働きがあることから「精神を安定させる効果」もあるとされます。マグネシウムの摂取はイライラする気持ちをやわらげるとともに、体温を調節するメカニズムにも関わっています。

マグネシウムの効果的な摂取方法とは?

マグネシウムはすべての細胞や骨に広く分布し、精製・加工していない食品にはまんべんなく含まれています。摂取量が少なくなりがちな栄養素ですが、通常の食事をしていれば、欠乏症になるほど不足することはほとんどありません。野菜類に多く含まれているので、肉類が多い欧米型の食事よりも、マグネシウムをより多く含む魚介や大豆製品の多い和食の方が、効率的に摂取できます。

ただし、睡眠不足や運動不足、ストレスが続いたときには、体内のマグネシウムが消費されて不足しがちとなります。また、慢性の下痢や利尿剤の長期使用、大量の飲酒も不足を招くことがあります。飲酒の際には、ナッツ類、海草、緑黄色野菜を一緒に食べると良いでしょう。

なお、マグネシウムを過剰に摂取しても、尿や汗と一緒に体外に排泄されるので問題はありませんが、腎臓に障害がある場合には、神経や心臓の機能低下、低血圧などを引き起こすので注意が必要です。

おわりに:健康維持に欠かせないマグネシウム。バランスのとれた食事で積極的にとろう

マグネシウムは、体内の酵素を活性化して健康を維持するのに必要不可欠なミネラルです。その働きは幅広く、丈夫な骨づくりのほかさまざまな生活習慣病、精神の安定にも寄与します。高齢者・シニアの健康維持、子どもの成長、働き盛りの体調維持のため、バランスの良い食事で積極的にとるようにしましょう。

関連記事

この記事に含まれるキーワード

骨(13) ストレス(367) 睡眠不足(29) 野菜(20) 高血圧(137) 心疾患(7) 運動不足(15) 生活習慣病(60) 大豆(14) マグネシウム(18)