カゼインプロテインの体への吸収が遅いのはデメリットじゃない?!

2018/3/25

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

体に吸収されるまでに時間がかかるとされる「カゼインプロテイン」。この吸収の遅さはデメリットと捉えられがちですが、うまく利用すればメリットにもなり得るのです。筋トレなどのトレーニング効果を上げたい方は、ぜひご一読ください。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
冷凍宅配食の「ナッシュ」

カゼインプロテインとは?

カゼインプロテインとは、牛乳に含まれるタンパク質の一種です。同じく牛乳を主原料とするホエイプロテインが乳清を主成分とするのに対し、カゼインプロテインは牛乳から乳清と脂肪分を取り除いたタンパク質(カゼイン)から作られています。

不溶性で水に溶けず、固まりやすい性質を持っているため、水溶性のプロテインと比べて体への吸収速度が緩やかになるのが特徴です。

一般的に、水溶性プロテインの吸収にかかる時間は2時間程度と言われていますが、カゼインプロテインの吸収にはその約2倍の7~8時間かかると言われています。

カゼインプロテインにはどんなメリットがあるの?

体への吸収速度が遅いという特性を持つカゼインプロテインですが、ここからは、そんなカゼインプロテインを摂取するメリットを4つご紹介していきます。

満腹感が続きやすい

胃の中で固まる性質のあるカゼインプロテインは、消化・吸収に時間がかかります。このため非常に腹持ちが良く、さらに摂取することによって筋肉量を維持してくれるので、減量中の間食や食事代わりとしておすすめです。

休息日、就寝中に望ましい速度での栄養補給ができる

トレーニングの休息日や就寝中には、しっかり身体を休ませるためにも、ゆっくりと時間をかけて栄養補給するのが望ましいとされています。このため、吸収に時間がかかるカゼインプロテインは、休息日や就寝前に摂取するのに最も適したプロテインと言えます。

グルタミンが豊富なので、筋肉の分解を防ぎ、筋力を維持してくれる

アミノ酸の一種で、カゼインプロテインに多く含まれる「グルタミン」には、トレーニング後の筋肉の分解を防ぎ、疲労回復を助ける効果があると報告されています。つまり、カゼインプロテインの摂取により、筋肉維持の効果が期待できるのです。

主成分のカゼインが、カルシウムと鉄の吸収を促進してくれる

カゼインプロテインの主成分であるカゼインは、小腸で分解されると「カゼインホスホペプチド」という成分に変わります。このカゼインホスホペプチドには、カルシウムと鉄分の速やかな吸収を助ける効果があると言われているので、積極的に摂取すると良いでしょう。

もうひとつの乳性プロテイン「ホエイプロテイン」との相互作用について

ホエイプロテインは、カゼインプロテインと同じく牛乳から作られるプロテインの一種で、牛乳の上澄みである乳清に含まれるタンパク質を原料としています。カゼインプロテインとは違い水溶性で、身体への消化・吸収が早く、筋肉のもととなるアミノ酸が多く含まれていることから、プロテインのなかでもポピュラーな品種です。

このように、同じ牛乳原料のプロテインでもその栄養素や効果、身体への吸収にかかる時間などにはそれぞれ差異があります。この特性を利用し、2つのプロテインの摂取のタイミングや方法を工夫することで、カゼインプロテインとホエイプロテインの相乗効果を狙うことも可能です。カゼインプロテインだけの商品よりも、ホエイプロテイン配合の商品の方が手に入りやすいという実情もありますので、うまく選んで相乗効果を利用すると良いでしょう。

おわりに:カゼインプロテインの吸収速度をうまく活用して、効果的に摂取しよう

他の水溶性のプロテインに比べ、身体への吸収がゆっくりなカゼインプロテインですが、この特性ゆえのメリットもたくさんあります。摂取の方法や組み合わせを工夫して、あなたにとって最も効果的な方法で摂取してください。

関連記事

この記事に含まれるキーワード

牛乳(21) 筋トレ(59) 満腹感(2) ホエイプロテイン(4) カゼインプロテイン(5) グルタミン(3) 就寝(1) 相乗効果(1)