記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/3/28
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
抗糖尿病作用がある栄養成分として、注目を集めている「クロロゲン酸」。果たしてクロロゲン酸には抗糖尿病作用があるのでしょうか?根拠を含めて詳しく解説していきます。
クロロゲン酸は別名コーヒーポリフェノールとも呼ばれる苦味成分で、コーヒーをはじめ、ゴボウ、サツマイモやジャガイモの皮などに含まれます。ワインなどに含まれている、ポリフェノールという栄養成分の一種です。
クロロゲン酸の効能としては、体内から活性化酸素を取り除いて病気や老化を予防したり、脂肪の燃焼を促進する酵素を活性化する、などの作用があると言われます。
特にクロロゲン酸による脂肪の燃焼促進作用は、「体脂肪を低減する」として特定保健用食品としても認められているものです。
通常、食事をして血糖値が上がりすぎると、人の身体は血糖値を正常値まで下げるために、すい臓の膵β細胞という細胞からインスリンを分泌して対応します。しかし、このインスリンの分泌量が十分でなかったり、正しく作用しなかったりすると血糖値が高い状態が続き、糖尿病のうち約9割を占める2型糖尿病の誘因となるのです。
そこで近年、膵β細胞の大きさと機能を改善することで、2型糖尿病の治療や予防につなげるための研究が行われており、その実験においてクロロゲン酸が使われています。まだ研究段階ではありますが、クロロゲン酸によって膵β細胞の大きさや機能が活性化されたというデータが出たことから、クロロゲン酸に抗糖尿病作用が期待されているのです。
さらにクロロゲン酸は、現在2型糖尿病の代表的な治療薬である「インクレチン」という薬と、似た作用を持っていることも分かってきました。インクレチンは、膵β細胞を保護することで糖尿病治療を目指す薬なのですが、クロロゲン酸も膵β細胞に対し、膵β細胞を保護し活性化させたというデータが出ています。
このことから、糖尿病治療薬であるインクレチンと同様、今後クロロゲン酸にも抗糖尿病作用が期待できるようになるのではないか、という期待が高まっています。
糖尿病を抑える作用があるとしてクロロゲン酸への期待が高まっていますが、まずは糖尿病にならないように、生活や食事の習慣を見直すことが何よりも重要です。糖尿病は、規則正しい生活や食事の習慣を実践していれば、誘因があっても発症しにくい病気とされます。このため、生活の改善が何よりも有効な予防・治療法になるのです。
食事は適量で栄養バランスの良いもの、運動はゆっくり30〜40分散歩をするなど無理のない範囲でいいので、続けて実践することで変化は現れます。これらの規則正しい生活習慣のなかに、クロロゲン酸を含むコーヒーの摂取もプラスして、できるところから糖尿病予防に努めてください。
まだ研究段階ですが、インスリンを分泌する膵β細胞への作用がみられることから、クロロゲン酸にも抗糖尿病作用が期待できる可能性が高いと考えられています。生活習慣の改善と合わせて摂取を続けることで、一定の効果は見込めるかもしれません。興味のある方は、ぜひ実践してみてくださいね。