記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/3/27
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
「グルタミン」と「グルタミン酸」を同一のものと思っている方は少なくないでしょうが、実はそれぞれ体内で違う働きをする成分です。それぞれの担う作用や、効果的な摂取方法などをご紹介していきます。
「グルタミン」と「グルタミン酸」は、名前の似ているアミノ酸同士です。グルタミンはグルタミン酸とアンモニアからつくられていますが、その構造や体内でのはたらきはそれぞれ異なります。グルタミンはアスリートなどハードトレーニングを行う人向けのサプリメントによく含まれる成分です。一方グルタミン酸は、うまみ成分の構成成分として広く知られており、加工食品などによく含まれています。
グルタミンの主な役割のひとつに、腸のはたらきのサポートや、その修復があります。腸管には、栄養の吸収を行う「じゅう毛」という非常に細かい突起が無数に敷き詰められていますが、グルタミンはこの「じゅう毛」の栄養源になるのです。さらに、インフルエンザウィルスや細菌などの異物から体を守る力、いわゆる体の免疫機能をサポートすることから、アレルギー症の予防や改善も期待できるでしょう。ほかにも、筋肉の維持や、傷の治癒、アルコールの代謝を助けるはたらきもあるとされています。
グルタミン酸の主なはたらきのひとつは、アンモニアの無毒化です。アンモニアは、アミノ酸の代謝産物ですが、エネルギー産生を低下させたり、脳の機能を妨げたりする、体にとって良くないはたらきをもっています。グルタミン酸は、このアンモニアを取り込んで無毒化します(アンモニアとグルタミン酸から、グルタミンを作り出します)。あわせて利尿作用ももちます。
さらには、脳を活性化させる神経伝達物質としてのはたらきもあります。過剰摂取は逆効果となりますが、記憶能力や学習能力の向上を助けることも期待できます。ほかに、お肌の角質層にある天然保湿成分として、潤いと美しさを保つはたらきも期待できるとされます。
グルタミンもグルタミン酸も、体内で作りだすことができる「非必須アミノ酸」です。しかし、グルタミンはストレスなどの理由で減少しやすく、体内で生成できるぶんだけでは足りなくなることがあるため、準必須アミノ酸ともいわれます。
グルタミンは小麦粉や大豆、海藻類、肉、魚などに多く含まれています。一方、グルタミン酸は、海藻や緑茶、イワシ、一部の野菜(白菜、トマトなど)に含まれています。なかなか普段の食事の中で意識しづらいときは、サプリメントによる摂取もおすすめです。特にグルタミンは熱に弱い性質があるため、生で食べるかサプリメントによる摂取がより好ましくなります。
「グルタミン」と「グルタミン酸」、名前の似ているアミノ酸同士ですが、その構造や体内でのはたらきはそれぞれ異なります。グルタミンは主に、腸のはたらきのサポートやその修復などをします。一方のグルタミン酸は、アンモニアの無毒化や脳機能のサポートをします。いずれも身体の健康を担う大切な成分なので、該当する食材やサプリを継続的に摂取していきましょう。