記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/4/13
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
喘息患者の咳止め薬に使われる「エフェドリン」。実はこのエフェドリンは、服用時に注意すべき点が多い成分でもあります。以降でその作用やリスクについて、詳しく解説します。
エフェドリンとは、マオウというハーブから抽出される有効成分です。マオウは、モンゴルの砂漠地帯に生えるハーブで、乾燥させた茎は生薬として伝統的に使用されています。
エフェドリンには、気管支を拡張したり、皮膚の血行を良くする働きがあり、気管支喘息(以降、喘息)の薬として多くの医療品に含まれています。また、マオウには喘息だけでなく、風邪やインフルエンザ、解熱、リウマチの痛みを緩和する効果も期待されています。単体のエフェドリンと比較してマオウを全部使うと副作用が少ないと言われています。
エフェドリンが含まれるマオウは、はるか昔から伝統的に使われてきました。マオウの有効成分であるエフェドリンは、1892年に長井長義によって結晶が抽出され、その後、エフェドリンはアメリカなどで医療薬やサプリメントとして使用されました。特にアメリカにおいては、マオウのサプリメントがダイエットや筋肉増強、代謝アップが期待できるとして、人気になりました。しかし、不整脈や心臓発作などの副作用による健康被害が多発したために、アメリカでのサプリメントの販売は2004年4月に禁止されました。
日本においても、マオウは厳しく管理されており、食品としての地上茎の流通は禁止されています。マオウ(エフェドリン)の摂取に関しては、専門医に相談するようにしましょう。抗うつ剤を服用している場合や、心臓疾患がある場合、高血圧や緑内障の場合には摂取は控えてください。大量に摂取をすると血圧上昇やひきつけを起こす場合があるので、適切な摂取量を守ることが重要です。また、エフェドリンはドーピングの対象物質となっています。神経を刺激する効果があるためです。スポーツ競技をされている方は注意しましょう。
医薬品の塩酸エフェドリンは、喘息時の咳止めなどに使われます。気管が炎症を起こし気道が狭くなると、咳がでやすくなったりゼーゼーしたりしますが、エフェドリンには気管支を刺激して気管を広げる作用があるため、喘息時の咳止めとして使用されます。また、血管を収縮させる作用もあるとされ、鼻粘膜の充血を緩和し、鼻の通りをよくすることができるので、鼻づまりにも使われることがあります。
ただし、病気によっては症状を悪化させることがあるので注意が必要です。高血圧、心臓病、糖尿病、緑内障、前立腺肥大症などを発症している場合には、使用について医師とよく相談する必要があります。副作用としては、動悸や血圧上昇、頭痛や指や手の震えがあげられます。副作用がひどい時や治まらない場合には早急に病院を受診するようにしてください。
エフェドリンは喘息時の咳止めや鼻づまりなどに効果を発揮しますが、摂取量を誤ると血圧上昇やひきつけを引き起こしたりする恐れがあり、特定の疾患を持つ人は服用にリスクが伴う成分でもあります。安全な治療のために、服用の際は必ず医師に相談することが大切です。