記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/3/28
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
関節痛の緩和のために行われることがある「コンドロイチン注射」。では、腰痛症でも同様に効果が得られるのでしょうか?以降で詳しく解説していきます。
コンドロイチンとは、人の軟骨、目の角膜、骨、皮膚、椎間板、細胞と細胞をつなぐ結合組織など、全身に存在している成分です。非常に保水性が高く、組織に保湿と弾力を与えます。また、栄養分の消化、吸収、代謝に関する働きもあります。成長期には体内で生成されますが、加齢とともに減少し、中高年になると、必要量の20分の1程度しか生成されなくなります。
コンドロイチンには、大まかに以下の5つの効果があります。
一つ目が、関節痛を改善する効果です。加齢のためにコンドロイチンが不足すると、関節でクッションの役目をしている軟骨が減少します。その結果、骨同士が直接触れ合うようになって関節痛を引き起こします。コンドロイチンには、この減少した軟骨に保水性や弾力性を与えて、傷ついた軟骨を修復させる作用があり、関節痛の改善が期待できます。
二つ目が、高血圧や動脈硬化を予防する効果です。コンドロイチンには、血中コレステロールや、過酸化脂質を除去する働きがあると考えられています。
三つ目が、骨粗しょう症を予防し改善する効果です。コンドロイチンには、カルシウムを活発化させる働きが期待でき、骨の成長や骨折の回復の促進につながります。
四つ目が、美容効果です。コンドロイチンには、高い保水性があり、肌にハリ、ツヤ、弾力を与えるため美肌効果が期待できます。また、髪や爪などにも影響し、さまざまな美容効果があると考えられています。
五つ目が、目の健康効果です。コンドロイチンは、涙に近い成分です。ドライアイの目薬に使用されたり、白内障手術後の眼圧上昇を抑制する効果も報告されています。
コンドロイチンは、サプリメントとして広く販売されていますが、病院での注射によって摂取することも可能です。
注射とサプリメントの違いとして一番大きなものは、吸収性です。サプリメントは、飲んだ後に消化管から吸収され、血液に乗って効果を期待したい部位に届きます。消化管から吸収されるときには、成分がすべて吸収されることはありません。また、肝臓で代謝されますので、血液に到達する頃には成分が減ってしまっている可能性があります。
一方で、注射は効果を期待したい部位にダイレクトに成分を届かせることができるため、吸収性が高いと考えられます。コンドロイチンは関節痛に効果が期待できますが、関節は血流が少ないために、サプリメントによる摂取だと成分が届きにくい場合もあります。しかし注射であれば、患部に直接コンドロイチンを届けることができます。
コンドロイチン注射は、関節痛はもちろん、腰痛症の改善にも効果的です。
ただし注意が必要なのは、「痛みの原因が関節の軟骨の減少によるものかどうか」という点です。コンドロイチン注射はあくまで関節痛の改善がメインのため、痛みの原因が関節によるものでない場合には、効果が期待できません。
なお、コンドロイチン注射には特有の副作用はなく、安全性が高いと言われています。しかし、アレルギー反応を引き起こす場合もあり、稀ながら血圧が異常に低下しショック状態になる場合もあるので注意が必要です。コンドロイチン注射を打った後にその周囲に赤みがでたり、全身が赤くなったりすることもありますが、一時的な場合が多いです。
関節の軟骨の減少による腰痛であれば、コンドロイチン注射での改善が期待できますが、それ以外の原因の場合は基本的に効果が得られません。腰痛の原因に合わせて、適切な治療法を選択しましょう。