クエン酸の効果とキレート作用にはどんなメリットがある?

2018/4/1 記事改定日: 2020/5/13
記事改定回数:3回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

クエン酸は疲労回復効果やダイエット効果があるとして長く注目されていますが、クエン酸の持つ「キレート作用」がカルシウム不足に悩む人たちから注目されていることをご存知でしょうか。
この記事では、クエン酸の効果とクエン酸の効率よく摂取する方法について解説していきます。

「クエン酸」とエネルギーをつくる「クエン酸回路」の関係

クエン酸とは酢やレモンなど柑橘類に含まれる酸味成分で、人間が生きていくために必要なエネルギーをつくり出すために必要不可欠な成分です。

人間の細胞の中にあるミトコンドリアは、摂取した食べ物を酵素やビタミンで分解する過程の中でエネルギーを生み出しています。この仕組みをクエン酸回路(TCAサイクル)といいます。
人は数多くの細胞からできていますが、エネルギーをしっかりと生み出すには、それぞれの細胞で先に述べたクエン酸回路が正常に機能していることが重要です。

クエン酸は、このクエン酸回路が働くための着火剤の役割を担い、サポートをしてくれます。

クエン酸にはどんな効果があるの?

クエン酸の代表的な効果は、以下の4つです。

ダイエット効果

偏った食事や不規則な食生活などでクエン酸回路が鈍くなってしまうと、エネルギーがうまく作り出せず、摂取した糖や脂質、タンパク質などが燃焼されにくくなります。クエン酸を摂取することでクエン酸回路が活性化するので、代謝向上効果が期待できます。代謝が向上することは、ダイエットにも効果的です。

疲労回復効果

健康的な人の体液は弱アルカリ性です。体が酸性に傾き有害物質が体内に溜まると疲れやすくなる原因になります。クエン酸によってクエン酸回路が活性化すると、この有害物質が減少しやすくなると考えられています。

血行促進効果

クエン酸には血液中の乳酸をエネルギーに変えるよう促す効果があります。その結果、血液が酸化するのを防ぐことで血液をサラサラにする作用があると考えられていることから、クエン酸を摂取すると全身の血行が改善する効果が期待できるとされています。

クエン酸はカルシウムやマグネシウムの吸収率を高めるって本当?

カルシウムやマグネシウムなどの金属ミネラルは体にいい作用を持つ成分ですが、吸収されにくい特徴があります。
クエン酸は体内のカルシウムやマグネシウムに作用し、体内に吸収されやすい形に変える「キレート作用」という働きを持ちます。

たとえば、金属ミネラルの鉄はキレート作用によってヘム鉄というキレート化合物へ変化します。ヘム鉄は鉄と比べて体内への吸収性が高いのが特徴です。キレート作用によって吸収を促進することで、女性や高齢者を悩ませる骨粗しょう症の予防効果が期待できます。

キレート作用が期待できるおすすめ食品は?

キレート作用のある食品はクエン酸以外にもさまざまなものがあります。
具体的には、野菜類であればニンニク、ネギ、玉ねぎ、アスパラガス、ニラ、ニンジン、セロリ、ピーマン、じゃがいも、ホウレンソウ、大豆、キャベツ、ブロッコリーなどです。また、果物ではりんご、バナナ、ブドウ、みかん、オレンジ、レモンのほか、海藻類や漬物などの発酵食品もキレート作用が期待できます。
効果的に体内でキレート作用を発揮するためには、これらの食材をできるだけ多く摂ることが大切です。できれば毎食ごとに何らかの形で上でご紹介したような食品を摂るようにしましょう。

おわりに:クエン酸のキレート作用で健康的な体づくりをサポート!

クエン酸にはエネルギーを生み出す効果クエン酸回路を助ける働きがあり、ダイエット効果、疲労回復効果などさまざまな効果が期待でき、洗濯では洗剤・柔軟剤代わりでも使えます。また、クエン酸によるキレート作用はカルシウムとマグネシウムの吸収率を高めるので、丈夫で健康的な体づくりが期待できます。毎日の食事で摂取できる栄養素なので、積極的に取り入れましょう。

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