記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/4/10
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
納豆のネバネバに含まれる酵素をナットウキナーゼといいます。こちらの記事では、ナットウキナーゼに期待される効果や特徴、より効果的な納豆の食べ方について解説します。
ナットウキナーゼとは、納豆に含まれる酵素の一種です。納豆は、大豆を蒸したところに納豆菌を加え、発酵させることで作られます。この発酵の際に、ビタミンBやビタミンK、ポリグルタミン酸、プロテアーゼといった多様な栄養素とともに生み出されるのがナットウキナーゼです。
ナットウキナーゼは納豆のネバネバの中に含まれており、「フィブリン」と呼ばれる、血栓の素となるタンパク質を分解する働きを持ちます。このため、抗血栓薬と同様に血栓を溶かす作用があるといわれているのです。
ただし、ナットウキナーゼには熱に弱いという特徴があり、過度に加熱すると死滅してしまいます。そのため、ナットウキナーゼの摂取を目的に納豆を食べるのであれば、調理には注意が必要です。
ナットウキナーゼには、直接フィブリンに作用して溶解する働きがあります。フィブリンとは、血栓の主成分であるタンパク質の一種です。このナットウキナーゼの血栓溶解作用が、血栓症(脳梗塞、心筋梗塞、肺塞栓、深部静脈血栓症など、血管が血のかたまりで詰まることによって起こる疾患)の予防に役立つと言われています。実際に、納豆を日頃からよく食している人は脳卒中のリスクが約3割低かったという調査結果もあります。
ナットウキナーゼには、血栓を予防して血液をサラサラにする作用のほか、血圧降下作用も認められています。そのため、ナットウキナーゼの摂取が高血圧症の予防にもつながると考えられています。
ナットウキナーゼを含めた納豆の栄養素をより効率的に摂取するためには、以下のような点を意識すると良いでしょう。
納豆には様々な調理法・食べ方がありますが、特にナットウキナーゼは加熱によって効果が弱まってしまうため、加熱せずに食べることが勧められています。調理はせずにそのまま食べたり、炊き立てのご飯であれば少し冷ましてからのせて食べたりするなど、工夫が必要です。
体の中の水分が不足したり、長時間血管が圧迫されたりすると、血流は滞りやすくなります。1日の中で最も血栓が生じやすいのは、夜から朝にかけてです。朝に食べたからといって効果が全くなくなるということはありませんが、納豆は夕食時に食べるとより効果的だとされています。普段から夕食のメニューに納豆の小鉢や和え物(加熱なし)などを加えることを習慣化しておくと、血栓症や高血圧症の予防につながるでしょう。
ナットウキナーゼには血栓を溶かしたり予防したりする効果が認められています。納豆を加熱調理しない、夜に食べるようにするといったことにも気をつけながら、ナットウキナーゼを効果的に摂り入れていきましょう。