記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/4/10
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
腎臓病患者さんは「カリウム」の摂取制限が設けられますが、そもそもこれはなぜでしょうか?腎臓とカリウムの関連性や、カリウムが多く含まれる食品など、幅広くお伝えしていきます。
腎臓の病気には多くの種類や病気があり、症状や経過がそれぞれ異なります。腎臓病は、腎臓の異常が発生するプロセスによって、「原発性(一次性)」と「続発性(二次性)」、病気の発生と進展の速さによって「急性」と「慢性」に分けられます。
原発性の腎臓病とは、腎臓自体に何かしらの問題が起きるもので腎炎が代表的なものです。腎炎の中でも障害される部位によって病名が異なり、糸球体腎炎や間質性腎炎などの種類があります。
糖尿病や痛風、高血圧、膠原病といった腎臓以外の病気が原因となって起こる腎臓病で、糖尿病性腎症、腎硬化症、痛風腎などの種類があります
症状が急に出現し、時間単位あるいは日単位で悪化していきます。急性腎炎が代表的です。
ゆっくりと進行し、末期となるまで症状が出現しないタイプです。慢性糸球体腎炎、糖尿病性腎症、腎硬化症、多発性嚢胞腎などがあり、これらの病気が進行することで慢性腎不全へと移行していきます。
腎臓はソラマメのような形をした、縦12cm、横5~6cm、重さ150gほどの臓器です。背中側の腰の上部に左右1個ずつあり、大量の血液が送り込まれています。腎臓には、下記の4つの働きがあります。
1つ目は体内の老廃物の排出です。体内の老廃物を血液から濾過して、尿として体外へ排出します。
2つ目は血圧の調整です。腎臓では塩分と水分の排出量をコントロールして血圧を調整しています。血圧が高いときは、塩分と水分の排出量を増加させて血圧を下げ、血圧が低いときは塩分と水分の排出量を減少させて血圧を上げます。
3つ目はホルモン産生です。腎臓では血圧に関するホルモンや赤血球の成熟、骨の代謝に関するホルモンなどいろいろなホルモンを産生しています。
4つ目は体液の恒常性の維持です。体内の水分やナトリウム、カルシウム、リン、カリウム、重炭酸イオンといった電解質が常に一定に保たれるように排泄量を調整します。
カリウムは、腎臓でしか排出されないという特徴があります。そのため、腎臓病になるとカリウムを輩出することができず体内に蓄積されてしまいます。カリウムが過剰に蓄積されると、神経伝達系に異常をきたしたり、不整脈などを起こしたり、心臓が突然止まってしまうというリスクもあります。そのため、カリウムの摂取が制限されます。
カリウムは、野菜(かぼちゃ、にら、水菜、なす、白菜、セロリ、キャベツ)、肉・魚(特に刺身)、麺、海藻類(とろろ昆布、干しひじき)、大豆類(納豆)、調味料(黒砂糖、だし)、牛乳などに多く含まれます。
調理法を工夫することで、カリウムの摂取量を大幅に減らすことができます。
まず生果物は通常の半量にするか果物の缶詰にし、缶詰のシロップは飲まないようにしましょう。
野菜や芋類は小さめに切ってから茹でこぼし、生野菜は水にさらしてカリウムを水に溶かして排出してから調理しましょう。小さめに切る、茹でて水を切る、搾るといった工程で、より多くカリウムを除去できます。
なお、海藻類はカリウムが多く含まれていますので、一度に多量にとることは控えましょう。
腎臓病には様々な種類がありますが、共通して必要なのがカリウムの制限です。カリウムは調理法を工夫することで、摂取量を減らすことができるので、ぜひ食生活から治療の補助に取り組んでください。