野菜に含まれるカリウムの量はどれくらい?摂取量の調整方法はある?

2018/3/31 記事改定日: 2019/5/17
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

腎臓病患者さんにとって、気をつけなければいけないのが「カリウム」の摂取量です。しかし、カリウムは具体的にどんな野菜に含まれているのでしょうか?
いま注目の「低カリウム野菜」やカリウム摂取量のコントロール方法もあわせて解説していきます。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
冷凍宅配食の「ナッシュ」

カリウムを摂取するメリットとカリウム制限が必要な理由とは?

カリウムは、ナトリウムなど他の電解質と共に細胞の浸透圧を整えて身体の維持を担っています。また、ナトリウムの排泄を促す効果もあるため、血圧を下げる作用もあります。
そのほかにも、カリウムには神経の働き、心臓・筋肉の運動などにも関わっており、ヒトにとって非常に重要な栄養素の一つといえます。
このため、カリウムを豊富に含む食品を積極的に摂ってカリウム不足を防ぐ必要があるのです。

しかし、カリウムは腎臓の機能が低下すると排泄量が減少して体内に溜まりやすくなることがあります。
カリウムは不足した場合も健康被害がありますが、過剰になると致死性不整脈を引き起こす可能性があるため、腎臓の病気がある人はカリウム摂取の制限を行う必要があります。

どのように食事制限をしていくかについては、担当の医師や栄養士の指導に従うようにしましょう。

カリウムを豊富に含む野菜とは?

カリウムを豊富に含む野菜としては、以下のものがあります。

ほうれん草

ほうれん草は、野菜の中で最もカリウムが含まれているとされており、可食部100gあたり690mgのカリウムが含有されています。しかし、茹でることによって約45%のカリウムがゆで汁に溶けだしてしまうとも言われています。

タケノコ

タケノコには、100gあたり520mgのカリウムが含有されています。しかしほうれん草と同様、茹でることによって約30%のカリウムが抜けてしまうと言われています。

イモ類

イモ類も、カリウムの含有量が多い野菜として知られています。特に里芋と山芋のカリウム含有量は多く、里芋の含有量は100gあたり640mg、山芋は100gあたり590mgです。

枝豆

枝豆は100gあたり590mgのカリウムを含有しています。これは山芋と同じ数値です。しかし、山芋とは違い、茹でて食べる必要があるので実際に摂取できるカリウム量は劣ります。

ニラ

ニラの可食部100gあたりのカリウム含有量は、510mgです。

カリウムは果物や飲み物にも含まれている?

カリウムは、果物や飲み物にも多く含まれています。

カリウムを多く含有する果物

カリウムを最も多く含んでいる果物はバナナで、150gあたり540mgものカリウムを含んでいます。

また、

夏みかん
150gあたり285mg
はっさく
150gあたり270mg
いよかん
120gあたり228mg
オレンジ
120gあたり114mg
みかん
100gあたり130mg
グレープフルーツ
100gあたり140mg

といった柑橘類にも多く含まれています。
そのほか、柿(100gあたり170mg)やキウイ(100gあたり290mg)、メロン(15gあたり272mg)もカリウムの多い果物です。

カリウムを多く含有する飲み物

最もカリウムが含まれている飲み物は玉露の緑茶で、湯のみ1杯(120ml)あたり408mgのカリウムが含まれていると言われます。

ほかには、野菜ジュース(100%)が200g中400mg、りんごジュース(100%濃縮還元)が200g中220mg、オレンジジュース(100%濃縮還元)が200g中380mgと、野菜や果物を含む飲料は含有量が多くなる傾向にあります。

低カリウム野菜を摂るメリットとは?

腎機能が低下するとカリウムを体外に排出する機能が低下し、体内にカリウムをため込んでしまい、結果、高カリウム血症など重篤な病気に移行してしまうことがあります。このことから、カリウムの摂取を制限しなくてはならなくなります。

しかし、低カリウムを重視した調理法をしていると他の栄養素が損なわれ、また野菜そのものの摂取量の減少は食物繊維の摂取量の減少を招き、便秘となる可能性もあります。

そこで、現在注目されているのが低カリウム野菜です。低カリウム野菜とは、生育方法から野菜造りを見直すことでカリウム含有量を少なくし、かつ茹でるといった手間を加えずにおいしく食べられる野菜です。現在カリウム制限のある方からも注目されています。

野菜の調理法を工夫してカリウムの摂取量を調節するには?

野菜の調理法を工夫すれば、それぞれの状態にあった適切な量のカリウムを摂取することができます。

工夫するポイントは「水にさらすかどうか」です。カリウムは水溶性で、水に溶けるという性質を持っています。そのため効率よくカリウムを摂取したいという場合は、なるべく水にさらしたりせずに、さっと洗って生で摂取する、あるいはスープやみそ汁など煮た汁を一緒に飲めるような調理方法が望ましいです。

一方、カリウムの摂取を控えたいという場合は、水にさらす、茹でこぼすといった調理方法が効果的です。約3割のカリウムがこの方法で抜けると言われています。また、小さく切って茹でこぼすとカリウムが抜けやすくなります。

おわりに:状態に合わせて、食材の選び方や調理方法を工夫しよう

カリウムは何気なく私たちが日常で摂取しているものに多く含まれています。カリウムを気にした食事をとることは、カリウム制限のある人にとっては重要なことです。自分の状態に合わせて食材を選択し、調理方法も工夫してカリウムの摂取量を調整しましょう。

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